第4話
「ん……んぅ……」
「ミリーナッ!よかった……よかったのじゃ……」
瞑っていた瞳を開き、小さく声を上げたミリーナ。
そんなミリーナにリーゼは泣きながら縋りつく。
「ふっ。しっかり約束は守っただろう?」
僕はそんなリーゼへと声をかける。
ミリーナ。
精神崩壊して発狂していた彼女は僕の魔法によって完全に精神を回復させている。
精神を回復させることくらい魔法を使えば簡単である。
脳内ドーパミンを弄るだけでいいし、あとは精神障害を負うことになった原因の記憶を消去してしまえばいい。
今回は記憶を消去する方法をとらせてもらった。
発狂するまでの間に危険なことを考えられていたら困るし。
僕への恨み、憎しみ増し増し……目覚めた瞬間にダイレクトアタックしかけてくるなんてことになったら面倒なんて話ではない。
殺しちゃったらリーゼは怒るだろうし。
「あぁ……そうじゃな」
リーゼは泣きはらした表情をこちらへと向け、僕の言葉に頷く。
「今度は君が約束を守る番だよ?リーゼ」
「うん。そうじゃな……」
「レイク……ッ!?わ、私は……や、約束、一体何の話をしているの?」
僕とリーゼ。
その会話に何もついていけていないミリーナは困惑したような表情を浮かべている。
「良いのじゃ、良いのじゃ……ミリーナは何も知らなくていいのじゃ……」
リーゼは疑問を呈するミリーナに対してそう話す。
そんなリーゼにミリーナはただひたすらに困惑していた。
「ミリーナをどうするかはリーゼが決めなよ。ミリーナを養うでも、仕事をさせるでもどちらでも。今の混乱期でミリーナのような便利能力があれば仕事には困らないと思うし……対応は君に任せるよ」
精神を回復したミリーナ。
彼女の能力はマンパワーを作り出すという一点において無類の強さを発揮するだろう。
それは仕事をこなすという一面において良い能力だろう。
だが、彼女の戦闘能力は低い。
わざわざ僕が確保しに行くほどの人材ではないだろう。
「それじゃあね」
僕はリーゼとミリーナのいる部屋から去った。
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