第42話

「散々人をアルビノと呼んでいたのはそっちだろう?」

 

 勇者パーティーが揃ったタイミングで僕は姿を現す。


「……レイクッ!?」

 

「アルビノ……ッ!」

 

 僕を見た人の反応。

 それは二つに分かれた。

 勇者を除く勇者パーティーと共に怪物と戦ったメンバーとで。


「これは貴様の仕業か……ッ!」


「やはり貴様らは悪魔だッ!」


「ここで殺さないと……ッ!」

 

 怪物のことを忘れていきなり登場してきた僕に敵意をむき出しにしてくる援軍たち。


「くくく……貴様らに僕は殺せやしない。子は親を超えるものなのだよ」


「何を言っているの?」


 僕の言葉。

 それに対して勇者と人工生物を除く勇者パーティーの面々は首をかしげる。


「くっ……」

 

 それに対して苦々しい表情を浮かべるのは勇者だ。


「貴様……ッ!自分が何をわかっておるのじゃろうな!?」

 

 今まで黙り、体を震わせるだけだったリーゼが僕の目の前へと一瞬で移動し、蒼炎を見せる。


「あんたに言われたくはないとも。妹のためにどれだけ殺した?」

 

 僕に迫りくる蒼炎は目の前でピタリと止まる。


「世界に迫害される我らアルビノは死ぬか、悪魔に堕ちるかの二択以外を与えられない」

 

 リーゼは何も言わない。

 アルビノに立ちふさがる理不尽なまでの圧倒的な壁を知っているからこそ。




「さぁ!復讐の鬼よ!どこまでもやるがよい!」



 僕は叫ぶ。


「えぇ!わかったわッ!」

 

 触手が荒れ狂う。


「来るわッ!気を付けて!」

 

 心臓を貫かれた人工生物を回収し、回復させていたミリーナが叫び、リーゼを除く全員が僕から怪物の方へと意識を向け、戦闘を開始する。


「行かなくてよいのか……?言っておくが、僕はそこそこ強いぞ?」

 

 怪物との戦闘を開始した勇者たちを尻目に、にらみ合いを続ける僕とリーゼ。


「……そうじゃろうな。お主の手札を、知らぬからのぅ。うかつに行動できぬ。ここでレクスまでも敵に回るのは得策ではないじゃろうしな」

 

 怪物を相手にするだけでもきついのだ。 

 ここで何もかもが謎な僕を敵に回したいと思う存在はいないだろう


「だろうね……それでは」

 

 僕は何もできないリーゼに背を向けて歩き出す。


「ごきげんよう」

 

 僕は上から落ちてくる梯子を手に掴んだ。


「な、なんじゃ……あれは」

 

 僕の体が宙に浮かんだ。

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