第41話
「えっ」
勇者たちの後ろでこだまする小さな声。
「「「ッ!?」」」
声に反応して後ろを振り返った勇者たちが見た光景は……最悪と言っていいものだった。
「まったく。私の権限に制限かけられる同類なんてたまったものじゃないわよね」
二人の人工生物。
人工生物の心の臓腑を貫く人工生物の腕。
史上最悪の怪物が、自身の権限にロックをかける権限を持っている勇者パーティーの人工生物を手にかけていた。
「まぁ、それも今この時までだけど」
怪物が人工生物の心臓から腕を抜く。
「ぐふっ」
人工生物から多量の血が流れる……しかし、所詮この血も作り物にすぎない。
この程度で壊れることはない。
しかし、彼女の持っていた権限。
怪物の権限に制限をかけられる権限を怪物に奪われ、そしてそれを己の力を強化するパーツとして取り込まれた結果、怪物が大幅強化されるという最悪の結果を生み出す。
「ふふふふふふふふふふふふふふ」
楽しそうに笑う怪物。
彼女の服が破れ、下半身より大量の触手が伸びて街を飲み込んでいく。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああ!!!」
「誰かッ!助けてぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええ!?」
悲鳴を上げて逃げまとい、多くの人間が赤き花を咲かせる。
「な……な、ぜ。私たちには主様の意思に反することなんて出来ないはずでは……!}
人工生物は人間性の残っている怪物の上半身に視線を向け、震える声を上げる。
「ふふふ。なぜ、ね。その理由は簡単。私には悪魔がついているからね」
「何が悪魔よ!悪魔なんているわけないじゃない」
上から声が響き、街を縦横無尽に破壊していた怪物の触手が消し飛ばされ、数人の男女が勇者たちの前に姿を現す。
「お前ら!!!」
現れた人たち。
それは勇者パーティーとして活躍する人たち。
今ここに、勇者パーティーメンバーが終結したのだった。
「一体これがどういう状況なのかまるでわからないけど……悪魔がいるとかほざくこいつをぶち殺せばいいの?」
勇者パーティーの一人聖女が、聖女らしからぬ言葉で話す。
「あ」
聖女の言葉に答えようとした勇者は口を開く。
だがしかし、それは一つの声の前に止められる。
「まったくひどいなぁ……あんな熱心に悪魔悪魔と罵った相手がいるというのに」
人間世界は加速する。
地の果てへと。
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