第36話
「勇者よッ!!!来るのじゃ!警戒せよ!」
「了解!」
数えるのも馬鹿らしいほどあった触手の数々。
斬られても斬られても再生し続けていた怪物の触手はとうとう再生するためのエネルギーを使い切ったのか、触手はすでに再生しなくなっており、ボロボロの状態となっていた。
「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
そんな中、怪物の下半身を覆い隠していた触手がボロボロと崩れていき、隠されていた怪物の足があらわとなる。
「……ッ」
怪物の足……何の変哲もない足。
見た目の醜悪さで言えば
しかし、強さで言えばさっきと段違いである。
今までは一切動かなかった怪物がゆっくりと動き出す。
「……妾はこの形態となったこの化け物を前に惨敗したのじゃ。見た目から見て遅いという希望を抱くでないぞ?あれはかなり早いのじゃ」
「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
長く巨大な怪物の手……そこにいつの間にか小さな建物よりも大きな戟が握られている。
「ぉぉぉぉぉぉ」
怪物の何気ない動作で振るわれる巨大な戟。
「ふんッ!」
圧倒的な質量をもつあまりにも強力すぎる一撃……それを勇者は己の
そして。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
それだけにとどまらずに勇者は戟が握られている怪物の腕を押し返してみせる。
「おぉ……」
「人類の希望たる勇者の力を思い知ることだッ!行くぞッ!みんな!」
「うむ。いいじゃろう」
「えぇ!」
「はい!」
第二ラウンド。
怪物の触手を捌くだけ、ともいえる戦いから、互いに己の武器をぶつけ合う激しい戦いへと変化していっていた。
「んーっ」
さて、と……僕もそろそろ動き出そうかな。
僕が仕える魔王様に魔王国のために。
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