第31話
「僕に関することは良いんだよ!今、最も重要なのはこの後どう動くか、でしょ?まだ勇者は何も聞いていないんだし、まずは勇者に説明をしてあげないと」
僕は話を逸らすように口を開く。
「そうね」
僕の言葉にミリーナさんが頷く。
「では、妾が説明をするのじゃ」
「いや」
リーゼさんの言葉……それを否定する言葉をミリーナさんが口を開く。
「いやッ!?」
それを聞いてリーゼさんが驚愕する。
「リーゼの説明は雑なんだよ。説明は私がするから」
「……」
ミリーナさんの言葉にリーゼさんは不満げな表情を浮かべる。
「えっと……じゃあ、今。私たちの状況、何をしようとしているのかを説明していくね」
ミリーナさんが口を開き、勇者への説明を始めた。
■■■■■
「なるほど……」
僕が受けた説明よりも詳しい説明をミリーナさんより受けた勇者は深く頷く。
ミリーナさんの説明はリーゼさんの説明よりも丁寧でわかりやすかった。
「そんなことが裏で行われていたのが……宗教の政策は、この世界に深い歪を産んでいるのだな」
そうだね。
宗教の政策による歪の代表……最も大きな歪とも言える僕が勇者の言葉に頷く。
アルビノが迫害される世界ではなければ、間違いなく僕はただの村人の一人としてそこそこの富を築き上げて終わっていただろう。
マキナの居ない僕は……前世と同じように無気力な人形としてゲーム世界で何もなすことなく踊ることになっていただろう。
死を恐れる哀れな人形として。
そう思うと僕は宗教に足を向けて寝ることは出来ないな。
感謝することしか出来ない。お礼として滅亡をプレゼントしてあげるよ!楽しみに待っていてほしいな。
「それで、協力はしてくれる、かな?」
「あぁ。もちろん協力させてもらうとも」
ミリーナさんの言葉に対して勇者が力強く頷く。
「では、俺の仲間である彼女を呼んでこよう……まさか彼女が人工生物。作られた人だとは思わなかったが……」
「うむ。よろしく頼むのじゃ」
「あぁ」
リーゼさんの言葉に勇者が力強く頷いた。
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