第32話
「……ッ!?!?」
人工生物であろう少女を連れてきた勇者。
部屋の中に入ってきた少女はミリーナさんを見て驚愕の表情を浮かべる。
「マスター」
この部屋に響く鈴のようなきれいな声。
その声の持ち主は人工生物であると思われる少女。
アルビノの如く白い肌にどこか神秘的な輝きを放つ虹色に光っているようにも見える銀髪。
瞳は黒い布で覆い隠しており、布の中を見ることは出来ない。
「えぇ。そうよ。私があなたのマスターよ……一族唯一の生き残りね」
ミリーナさんは少し悲しそうに話す。
「そうでしたか。マスター。それでは命令を」
「えぇ。我らが一族の秘伝たる怪物を殺すわ。協力しなさい」
「了承しました」
人工生物はミリーナさんの言葉に頷き、了承の意を示す。
……何の躊躇いも拒否感もなく頷くのか。人工生物ってば、いや。
この子ベータは自己の思考回路を持ち合わせていないのだろうか?
結局ゲームでもこの子に関しての掘り下げが少なかったから、この子についてわかっていることは地味に少ない。
僕でも知らないことが多い。
「よし!これで怪物を倒す準備は完了というわけじゃな!」
「意外と早く行ったね」
「……一番大変だと思っていた作業が一番早く終わったからのぅ」
僕はそんなことをほざくリーゼさんを無視しして口を開く。
「んじゃ……その件の怪物が居るところまでみんなで向かいたいのだけど……勇者的にそこら辺大丈夫なの?」
「……あぁー。どうだろう……ちょっとだけ諸々の確認とかをさせてほしいかもしれない……」
僕の疑問に対して勇者はそう返した。
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