第30話
「……え?なにこれ」
一人、宿の方で待っていてもらっていたミリーナさんは勇者を連れ立って帰ってきた僕とリーゼさんを前にミリーナさんは呆然と声を漏らす。
「えーっとね。簡単に言うと、勇者が仲間になったってことだよ」
「うん。お願いだから簡単に言わないで?何をどうしたら勇者様が仲間になるのッ!?なんで!?」
僕の言葉。
それに対してミリーナさんは動揺しながらそう叫ぶ。
彼女には僕の説明では理解出来なかったようである。
まぁ、説明らしき説明なんてしてないから当然だけど。
どうやらミリーナさんはちゃんとした説明を欲しているようである。
「えっとね……」
「私が説明するわ」
僕が説明しようとして口を開くと、その言葉をリーゼさんが引き継ぐ。
「説明をするのであればあなたよりも間違えなく私の方が向いていると思うのじゃ」
リーゼさんはそう言ってから、端っこの方へとリーゼさんとミリーナさんは向かい、こそこそと話し始める。
「ふわぁ……」
そんな様子を僕はあくびを浮かべながら待ち……。
「……」
勇者はものすごく気まずそうな表情を浮かべながら待っていた。
「ということだね」
リーゼさんが説明を終える。
「う、うわぁ……」
リーゼさんから全ての説明を聞いたミリーナさんは僕にドン引いたかのような視線を向けてくる。
むむむ。なんて失礼な奴なんだ。
別に僕はそこまでの極悪ブレイしていないだろ!このくらい普通でしょ!
「い、いや……全ては俺の愚かさ。罪の話で……」
「話の持って行き方がエゲツないじゃん!?ただのお店の店員さんだよね!?」
「接客業において。コミュニケーション能力は大切なんだよ」
「一体あなたはお客さんとどんなコミュニケーションを取っていると言うの……?お客さんを脅してお店に依存でもさせているの?こ、怖いわぁ……」
「ひっどい言われ様」
僕はミリーナさんの評価を聞いて、ボソリと呟いた。
「事実じゃん」
「事実じゃしのぅ」
なんで僕はこんなにも非難を受けているのだろうか?まるで理解出来ない。
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