第29話
「お、お主……大分エゲツないのじゃな」
勇者をパシらせ……勇者に買物を任せ、裏路地に残っている僕とリーゼさん。
僕の隣に立つリーゼさんは僕の耳元でそう囁く。
「これくらい別に普通じゃない?ふふふ……僕はこれでも一応裏との関わりもあるからね。勇者があー……なんだっかか。どっかの国で蛮行を働いたって言う事実は知っているからね。これくらいは当然のことだよ」
「……そ、そうなのじゃろうか?い、いつの間に人類の世は修羅の世界になったというのじゃ?」
「え?昔はこうじゃなかったの……?人類の仕打ちなんてどんな世界になっても同じだと思うんだけど」
「……し、知らぬのじゃ。あんなやり方知らないのじゃぁ」
「えぇ……」
別に大したことはしていないと思うんだけど、僕。
もしかしてこの世界って思ったよりもぬるま湯世界なのかな?
「まぁ、良いよ。でも、これで多分解決するんじゃないか?勇者という強力な手札を手に入れ、多分人工生物の方も手に入ったでしょ」
ゲーム本編では勇者のパーティーに人工生物が追加されるのはかなり先の話だけど、僕が裏からちょちょいと干渉してパーティーの中に追加させておいた。
「まぁ……確かにそうではあるのぅ……」
「この後はヌルゲー。勇者の名前で必要なものを揃えてもらって、戦えば解決。何もかもがパーフェクトに終わる。そうは思わないか?」
「……そうじゃ、のう」
「でしょ?ふふふ……あまり長引かせるとお店に迷惑がかかっちゃうからね。出来るだけ早く帰りたいんだよ。僕は」
まぁ、これらが片付いたらお店の方に戻るつもりはないんだけど。
「そうじゃのう……いつまでも時間をかけているわけにもいかんしのぅ……出来るだけ早く終わらせた方が良いことは確かじゃな。妾の封印もそこまで長くは持たぬじゃろうしのぅ」
僕の言葉に対してリーゼさんはそう話す。
「買ってきたよ!ふたりとも!」
「うん!ありがとー!」
僕とリーゼさんが話している間に買い出しに行っていた勇者が僕たちの元へと戻ってきた。
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