第4話

 ゲームというのは何もメインゲームを進めるだけのものというわけではない。

 探索やキャラ育成、サブクエストなんかも存在する。

 そのサブクエストの一つに摩訶不思議な二人組というサブクエストが存在する。

 サブクエストの内容は簡単で、お店に来たあの二人組と一緒に魔族側に通じている人間のスパイを排除するというものだ。

 

 なのだが、サブクエストに出てくるキャラなのにも関わらず、二人組の人気は凄まじく、人気ランキングでは一位と二位を独占するという有様だった。

 そのため、二人組の前日譚としてとある少女を主人公としたストーリーを行うことの出来る拡張パックが販売されるに至ったのである。

 

「ふんふんふーん」

 

 拡張パックに内蔵されていたストーリーの時系列……そのときはまさに今。


「ちょっと近道しようかな。一時間で戻るって言っちゃったし」

 

 僕はゲームに出てくる少女の行動をなぞりながらこの場を歩く。主人公の仕事を僕が奪う形で僕は活動する。

 裏路地へと僕は入り、ゆっくりと歩く。 


「どけぇ!!!」

 

 しばらく進んでいた時。

 唐突に僕は裏路地から曲がってきた一人の男に弾き飛ばされ、足を滑らして体が宙に浮く。


「危ないッ!!!」

 

「……ッ!?あ、れは……!」


 誰かの女の子たちの声が響くと共に僕の手に握られていた財布が僕の手からこぼれ落ちて宙を舞う。


「ふぇ!?」


「のはァ!」

 

 開かれる財布……そこから落ちてくるなにかの指。


「んぐっ!?」

 

 落ちてくる指……それは僕の胃の中に滑り落ちていく。


「んにゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!?」


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!」


 誰かの……お店に来ていた二人組の絶叫がこの場に響き渡った。

 良し!ビンゴ。本当にゲームどおりにストーリーが進んだな。

 ちょっと僕の登場で色々と変わっちゃったから……ちょっとゲームどおりに行くか不安だったんだけど、うまく行ったようで本当に良かった。

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