第12話
「ふぅん。瞳の裏ってこうなっているんだ」
僕は右手で人間の瞳を転がしながらぽつりとつぶやく。
「そういえば……僕は知識として人体がどうなっているのか知っているけど、実際に見たことはないな。人間のばらし方、人間の体の構造。それについて知るのも強くなるための一環になるかな?」
僕は自分の前に転がっている数人の男女へと視線を送る。
一人は血があふれて出る自分の瞳を抑えてうずくまっている。
「……お前は俺らの中でも段違いだな、人を何だと思っているんだ……」
僕のいる部屋の扉が開き、そこから一人の男が入ってくる。
「羽虫だよ……言っただろう?僕は魔族側の人間だと。人間の命なんかに価値を少したりとも感じないかな……君たちもそれを知りながら僕に協力することを選んだのだろう?」
まぁ、正確にはマキナ以外の生命に興味がないんだけど。
「……」
僕の言葉。それを聞いた男は黙り込んでしまった。
そんな男の髪は白く染まり、瞳は赤く染まっていた。
アルビノ。
色素欠乏症とも呼ばれる遺伝子疾患を持つ存在であり……この世界でも数の少ない存在であると思っていたのだが、想像以上にアルビノの数は多かった。
多くのアルビノは死ぬ。
それでも、そんな迫害から生き残ったアルビノたちは裏に潜み、裏の商人としてかなりの数、暗躍していた。
この世界のアルビノは遺伝性疾患である色素欠乏症じゃないのかも……別に僕は生きていて自分の肌が弱いと思ったことも別にないしね。
「ふー……俺たちは、本当に悪魔の子なのかもしれないな」
僕を見つめるだけで、長い沈黙を作り続けていた男は……ようやくぽつりと言葉を漏らして
「人間なんて簡単に悪魔になれるんだよ。理由さえあればどこまでも非道になれる。そんなもんだよ。僕たちには迫害されたというわかりやすい理由があるだろう?」
「……そうだな。3時間後。会議室に来てくれ」
「了解」
男は僕の視線から、自分の視線を外して部屋から出ていく。
「うーん、とりあえずやってみるか。知っていて損することじゃないしね」
僕はナイフを取り出し、それを一人の人間の皮へと滑らした。
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