第5話

「……ッ!?」


「……ッ!?」


「……ッ!?」


 お城の中にいる魔族たちが堂々と廊下を歩くマキナと僕を見てぎょっとした表情を浮かべ、ありえないものを見るかのような視線を向けられる中、マキナは一動じず……。

 

「ねぇ。やっぱあの男が使っていた家具なんて嫌だよね。全部捨ててまた新しい部屋のレイアウトをするべきだと思うの。どんな部屋がアルは良い?」


 僕と雑談しながら歩いていた。


「えっ……あ、ううんと……白黒のモノトーンが好きかな。僕は」


 マキナの疑問に僕は答える。

 基本的に僕は色々な色を好まない……前世での自室は基本的にモノトーンとなっている。


「だよね!私もそう思う!そんなレイアウトにしょ!」


「わざわざ僕に合わせる必要はないんだよ?」


「私が合わせたいの。それが私の望み。アルは私なんだよ?」


「……そう言ってくれるなら嬉しいけど」

 

 ……。

 …………。


「あ、ここだよ」

 

 廊下を歩いていた僕とマキナは鎧に身を包む二人の魔族の男が門番を勤める一つの大きな扉の前に止まる。


「ま、マキナ様……?よ、良くぞ。お戻りで……」


「お父上は今、お部屋におりません。お父上に用がありますなら、玉座の間に向かっていただけると」

 

 マキナってばかなり三年で見た目が変化している。

 それなのに、すぐマキナってわかる魔族たちすごくない?そういう能力があるのかな?魔族には。

 

「違う。父は私が殺した。私が当主だ。『開けろ』」

 

 マキナが絶対の言葉を口にする。

 別に魔力がこもっているわけでも、魔法を使ったわけでもない。

 だが、その一言は目の前に立つ二人の男を己がままに操った。チートだ。……強すぎるッピ。


「ど、どうぞ!」

 

 あっさりと扉を開けた二人の魔族の男。

 マキナはさも当然のように中へと入り、僕は二人の男に頭を下げてから入る。


「おぉー」

 

 部屋の中。

 その豪華さは僕に驚愕を誘う。

 

「高そう」

 

 黄金の多い……実に高そうな一室。

 部屋に置かれる天蓋付きの巨大なキングサイズのベッドに、高そうな机に椅子、部屋の下には絨毯がしかれ、天井ではシャンデリアが輝いている。キッチンまである。


「悪趣味な部屋」

 

 ものすごく高そうな豪華な部屋を一瞥したマキナはそう吐き捨てる……うん。そこには少し、同意する。

 なんか成金感がすごい。

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