第2話
「はい、お待ち!」
椅子に座っているマキナの前に僕は料理を置き、自分のその対面の席に座り、自分の分の料理を置く。
「ありがと」
マキナは料理をすることが出来ない。彼女に出来るのは焼くことだけ。
肉も、野菜も……万物をん?炭かな?ってくらい焼いて食べる。
そのため、料理担当は僕である。……というか家事の担当は僕である。
「ん。じゃあ、いただきます」
「はい。いただきます」
僕とマキナは手を合わせ、互いに口を開く。
日本で生きた記憶を持っている僕が齎した僕とマキナ、2人だけの文化。
「うん、美味しい!」
「ありがと」
僕の料理を口に含んだマキナが笑顔を浮かべ、そう話す。
毎回美味しいって言ってくれるから、作りがいがある。
「アルの実力も良い感じになってきたし、そろそろ魔王を目指してもいい頃ね」
今、僕とマキナは僕が戦えるように訓練しているタイミングなのだ。
……魔族陣営に僕という本来居なかった分子が入ることで何かあるんかじゃないか と僕は心配している。
マキナ……ちゃんと魔王になれるよね。大丈夫かな?
結構心配である。
ちなみに僕の実力は人類の中だと上の中くらいである。
漆黒の聖剣を使った剣術とマキナに教わった神の恩寵を受けることが出来ない僕でも使える闇魔法を始めとした魔法の数々を使って僕は戦う。
「なんか、僕のためにごめんね」
「いいの!いいの!私がやりたくてやっているんだから!」
僕の言葉を聞いたマキナが慌てた様子でそう話す。
「それなら良いんだけど……それで?魔王になると言ってもどうなるの?何か作戦でもあるの?」
「とりあえずは私の実家に乗り込むかな。そこでとりあえず当主の地位を貰うかな」
「……え?どうやって?」
「普通に実力で。当主をぶち殺せば譲って貰えると思うよ」
「……なにそれ、どんな蛮族?」
想像以上の答えを聞いて僕はぽつりと言葉を漏らす。
当主を殺して当主の座を奪うの?蛮族より蛮族してない?
「強きものが勝つ。それが魔族たちの絶対のルールだからね」
「お、おう……そうなんだ……」
僕はマキナの言葉を聞いて、少し引いたような声を漏らす。
こんな蛮族丸出しの戦闘狂スタイルなら強いわよな。
ゲームで遥かに人類より強かった魔族を思い出し、そう思う。
……ゲームに魔族の話は一切出てきてないから、何も知らないに等しいんだよなぁ。
大丈夫かな?僕。
「大丈夫。私に任せて。何も心配はいらないよ」
不安を抱いた僕に気づいたのか、マキナ頼もしい言葉を口にし、笑みを浮かべる。
「うん、ありがと」
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