第1話

「……ッ」

 

 僕は真っ赤な土で固められた地面を蹴り、大地を弾丸のように滑り進む。


「シッ!」

 

 地面に足をつき、体を全体を動かして自分の手に握られている漆黒の聖剣を振るう。


「軽いな」

 

 僕の振るう漆黒の聖剣。それをいとも容易く受け止めるのは僕の目の前にいるグラマラスな女性が指二本で受け止める。


「『劫炎』」

 

 僕は漆黒の聖剣へと魔力を流し込んで、魔法を発動させる。

 漆黒の聖剣は真っ赤な熱い炎が吹き出していく。


「あちちッ!火傷すりゅ!」

 

 余裕と自信に満ちた表情を浮かべていたグラマスの女性が僕の手に握られている漆黒の聖剣から手を離し、自分の指を押さえる。

 

「痛い……痛いよぉ」

 

「ふん!上から目線でそんなことを話すからだよ」

 

 僕は涙目で自分の指を押さえているグラマラスな女性へと口を開く。


「いや……ちょっと師匠としての威厳が欲しいかなぁ……って思って。それに私は魔王にもなる女だよ?少しくらいの威厳があっても良くない?」


「君ってば僕以外の人と話す時、ものすごく威厳あるけどね」

 

 僕は漆黒の聖剣を自分の腰に下げている鞘の中へと仕舞う。


「……き、君に見せたいじゃん?」


「僕はありのままのマキナが好きだよ?」

 

 僕は将来魔王となる少女……少女とは言えなくなってしまったマキナの名前を呼び、告げる。

 あれから3年。

 魔王と呼ばれることになる少女より差し出された手を握ってから早いことでもう

3年。

 それはこの世界で生きる『アル』にとって久しぶりの安息の、楽しい時間だった。

 ちなみにたった三年と言う月日によってマキナは9、10才児からものすごくグラマラスな女性へと成長していた。


「あ、ありがと……私もアルが好きだよ?」


「うん。ありがと。お腹すいた。……お昼作ろ」


「そうだね!」

 

 僕とマキナは近くにある家の中へと入っていった。

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