第一章

プロローグ

 私は何だったのだろうか。

 遥か過去、神を信じて魔族との戦いに聖女として身を投じ……そして、未来の人類のために私は自分の魂を武器に込め、聖剣となって神の敵を殺し続けた。

 

 神の敵の一つであるアルビノ。

 アルビノは世界に災いを齎す最低最悪の悪魔……だがしかしどうだ?あの少年は何かひどいことをしたのか?

 それどころか、私の守るべき市民たちは少年に対して壮絶ないじめを向け、両親を考えられぬほど酷い殺し方で殺した。

 一体どちらが悪魔なのだろうか。


 そして、知ってしまった。

 

 この世界についての真実を。あの少年の中にあった前世の記憶を。

 少年の前世の記憶はこの世界が前世でやったげーむの世界であるということを。

 そんなことは重要ではない。私は自分の意識を持って動いているし、そもそもあの少年も自分の思うがままに生きているので、既にげーむとやらの設定からはかなりズレている。こんなの重要じゃない。

 

 真に重要なのはげーむとやらに出てきたこの世界の歴史。

 魔族と人間の戦い。その一番最初は人間が魔族を攻めたから……そう設定付けられていた。

 人間が魔族の領土を攻めたことから、人間と魔族の長い長い戦いが始まったと……少年の記憶は私に話してくれていたのだ。


 普段であれば私は一笑に帰すだろう。

 しかし……私の信じる一般市民が悪魔であったら……?神が、間違えているのであれば?






 すべて崩れた。










 私が。


















 私はどうすれば良い?

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