第5話

ーアルフォート領 城内 食堂ー


「それでは早速私からひとつ提案があります。」


「なに!早速か!」アルフォート様が興奮した様子で食い気味に反応する。


「えぇ先程のお話の中で皆さん、特にアルフォート様は暇だとおっしゃっていたので簡単な娯楽をお伝えしようかと思うのですがどうでしょう?」


「娯楽とな!確かに我が国の娯楽と言えば古い話の演劇くらいしかない。是非頼む」


「それでは先程 印刷技術と紙製造と言ってましたのであると思うのですが厚紙を数枚と黒いインクを用意して頂けますか?」


「直ぐに用意させる!バーム!」


「承知致しました。しかし今は夕食中ですので後ほど応接室で改めてに致しましょう。」


「確かにそうですね。」

オレも食事の場で娯楽の説明なんか落ち着いて出来んからな。


「うむ、わかったそれでは後で応接室に集まる事とする。」

アルフォート様もバームさんの言葉で落ち着かれたようだ。



ーアルフォート領 城内 応接室ー

オレとバームさんが部屋に入ると既にアルフォート様とルマンドさんが待っていた。


「お待たせして申し訳ありません。」

オレとバームさんは謝りながら席につく。


「多少待つ事などは問題ない!」

アルフォート様も先程に比べるとだいぶ落ち着いたようだ。


「それでは早速話をたのむ」ルマンドさんも表情には出ていないがワクワクしているのが伝わってくる。


「それでは、先にバームさんにお願いして必要な者は先に用意しました。

これから説明する娯楽はオセロと言う物でリバーシと言う事もある遊びです。

今回は紙を使い簡易的に用意しました。」

オレはテーブルに8‪✕‬8の64個のマス目を書いた紙と紙を丸く切り片方をインクで黒く塗った物64個の石を置いた。


「まず初めにマス目の中央の4マスに白と黒を2つずつ置きます、これで準備が出来ました」


「これでどのようにして遊ぶのかまだよくわからんな」アルフォート様同様他の2人わからないようだ。


「このオセロは2人でやる遊びです。

白と黒に別れて交互に自分の石をマス目に置いて行き相手の石を自分の石で挟むとひっくり返して自分の色にします。これを繰り返して最終的に自分の色が多い方が勝ちという遊びです。」


「なるほど····この遊びは簡単なルールだか石をどのように置くか、相手の置く場所を読むなどなかなか奥が深そうな遊びだな」


アルフォート様は1度の説明でオセロを理解されたようだ。


「それでは1度オレとアルフォート様でやって見ましょうその後でルマンドさんとバームさんもやってみましょう。」


「もう1回だ!談吾!次は必ず勝てる!」

あれからアルフォート様はオセロを気に入ったらしくルマンドさんとバームさん相手に数回やるともう負けなくなり、その後はオレがずっと相手をしていてもう外は夜が明け始めていた。回数も分からなくなる程やったがオレの全勝、アルフォート様も確実に上手くなって居るがまだオレの方に一日の長がある。


「アルフォート様、もう朝になりますし

次で本当に最後ですよ?」


「もちろんだ!もう談吾の癖も覚えたのでな次は勝てるぞ!」


そう言って1手目から長考し始めたので

暇つぶしにアルフォート様を神眼で見てみた


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アルフォート・グランデ 48歳

種族 人間 レベル30

HP200 MP151 攻撃力121 防御力111

素早さ71 知力 51

スキル

鑑定 毒耐性 剣術 (中)

魔法 適正属性 風

ウインドカッター(中) ウインドウォール(中)

固有スキル

王族の覇気 1アップ 起死回生

称号

ブルベン王国東方辺境伯 人格者

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

へぇー固有スキルに王族の覇気ってのがある事を考えると王族の血縁なのか·····


王族の覇気

王族に必要な空気を纏える。

兵士などへの士気向上効果や平民への安心効果、逆に威圧なども出来る。


1アップ

ステータスの数値の0が1になる。


起死回生

死ぬような状況時に全パラメータを一時的に10倍にする。

しかし使用後のパラメータは1/10になる。


「よし!これでどうだ!」

アルフォート様がようやく1手目をやったようだ。


結果ギリギリの所でアルフォート様が勝ち満足そうな表情をしていた。


「談吾よ、このオセロは簡易版と言っておったが本来はどのような物で作るのだ?」


プラスチックはないからなぁ

「そうですねぇ~無難で簡単なのは木材ですかね?基本的に複雑な物ではないので木材の他だと石やなんかでもいいでしょう!

石も裏表の色が違えばいいので絶対に黒と白じゃなくても問題はないですよ!」


「なるほどな·····ルマンド!」


「はい!何でしょうか?」


「今日はこの後、木工職人と石工職人を連れてこい!バースと談吾と一緒に製品化の話をするぞ。談吾もすまないがこのオセロは確実に流行する!話し合いに同席してくれ。」


「確かにルールも簡単で子供から大人まで男女問わずに出来ますからねこれが広まればとても良い娯楽になりましょう」

バースさんもアルフォート様と同じ考えのようだ。


「それでは私は早速、職人達を呼びに参ります。」ルマンドさんはそう言うと行ってしまった。


よくこう言う時の定番としてオセロはよくあるが実際にここまで目の色を変えるとは思っていた以上の反応だったな。

他の国は分からないがブルベン王国の歴代転生者は実用的な事を多く遺したのだろう。

それでなければこんな定番が伝わってないはずだしな。


転生者前のオレは特に専門的知識が必要な仕事でもなかったし賢者殿のように料理もそこまで得意ではない。

そう考えるとこうしたちょっとした娯楽や簡単な知識の応用なんかをする方が良いかもしれないな。



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