第4話

ーアルフォート領 城内 食堂ー

「アルフォート領の事を話す前にこの世界の地理関係を軽く説明せねばな。バーム頼む」


「はい。アルフォート領がある国がブルベン王国と言います。この世界にはブルベン王国を含め大国が4カ国とその他の小国が多数あり成り立っています。そしてブルベン王国の西にはプルッツの森ととても大きなチマコアラ山脈がありその先に隣国のダカメ帝国があると言う位置関係で我らがアルフォート領はプルッツの森の目の前に位置し一応国境に当たります。」


「ここまでは大丈夫か?談吾よ」

アルフォート様からの問いかけに頷いて答える。


「確かに私は辺境伯としてこの地を治めているが隣国との関係も良好であるし、先程の地理的関係で交流も少ないのだ」


アルフォート様の話に続くようにルマンドさんが

「それにな広大な山とそれに連なる森の資源が潤沢にあるのでモンスターの人への被害も少ないなく平和なのだ」


「·····なるほど」

オレは何とかなく城の人の少なさに納得がいった。


アルフォート様の説明が続く

「その為、沢山の兵士を置く必要がなくそれに伴い使用人も最低限ですんでいるのだ。

またこの地は辺境であるために自然は豊かで街も大きいがさっきのような事情もあり娯楽や刺激がなくつまらんのだ。

それで私の家族も今は王都に住んでいてる」


平和な為に辺境伯としての仕事が少なく、やる事もないのか。

「それでこの人数と言う事なんですね。」


「あぁワシも仕事があまりない為に側近もルマンドとバームの2人のみで他の者には王都の屋敷を任せておるのだ。」


「この領地の現在の状況や城の事はわかりました。それでアルフォート様は私の事を暇つぶしと言われたのですね」


オレはアルフォート様に取ってつまらない日常に急に現れた刺激な訳だ。


「まぁな後は期待もしているのだ。

転生者は確かにそれなりに確認はされているがやはり数は少なく時代に寄っては何十年も居ない事もあるのだが、転生者が住むまたは拠点とした国や街は結果はどうであれ確実に発展するのだ」


「つまりアルフォート様はオレがこの領地や国にもたらす何かを期待しているのですね」


確かに転生者は能力が高かったり、前世の記憶があるからやろうと思えばいくらでも発展はさせれるか。


「ちなみに今までの転生者が残した物はどんな物があるのでしょうか?」


「それがな、各国それぞれに色々とあるのだがハッキリとした情報はあまりないのだ」

アルフォート様は残念そうにそう口にした。


バームさんが口を開く。

「いくら国同士の関係が良好でも何時どこに現れるかわからない転生者の知識はとても貴重だから簡単には情報が漏れないのさ」


ルマンドさんも説明に加わる。

「それにな転生者の存在は国を大きくするのだ。さっきバームの話に出た4ヶ国の大国は転生者の出現回数が多いからこそ大国になったのだ。だから昔には転生者を巡っての戦争もあったそうだ。」


「確かに転生者の存在が国の命運を左右するなら戦争は起きるのも必然でしょう。

しかしならば何故今の時代はそう言った戦争がないのですか?」

素朴な疑問が沸いた。


アルフォート様が答える

「3代前の時代にある出来事が起きた為だ。

その時代には大国はもう1つあり全部で5ヶ国あったのだがな、その国は転生者を巡って他の国全てに戦争を仕掛けたのだ。しかも手に入れた転生者の扱いも酷かったらしく

その結果転生者の女性を1人殺してしまったのだそれで神がお怒りになりその国を丸ごと全て消してしまったのだ。」


「はぁっっ!?国を消した?いくら神とは言えそんな事が出来るのですか?オレが会った神のフィヤはとても優しいそうでしたが?」

あまりの衝撃でつい大きい声を出してしまった。


「ホントの話だこの話は小国群も含め全ての国に話が残っておる。それに神は転生者には優しいがそれ以外には厳しいお方だと記録が残っておる。」


「確かに国が無くなるとか言うトンデモない話なら簡単に戦争なんか出来ないですね。

何が神の怒りに触れるか分からないですから」


「あぁその結果、平和にはなったが暇を持て余した国と人々が残ったと言う事だ。」


「そうですか·····それで話は戻りますがブルベン王国に残されている物は何があるのですか?」


これにはバームさんが答えてくれた。

「ブルベン王国の記録では建国から今までの800年で7名の転生者がいて談吾さんで8人目です。これは4ヶ国中2番目に多い数です。しかも今回は同じ時代に2名いるというとても稀な出来事です。」

バームさんが少し興奮ぎみに話してくれた。


アルフォート様が苦笑いしながら

「そうなのだ5年前にブルベン王国の西の辺境領に転生者が現れてな」


「あぁそれが時々話に出て来た自慢話のオレオ様と賢者殿ですか。」


「そうなのだ!オレオと私は歳も近く同じ辺境伯として気心が知れた仲なのだがここ数年は会う度に楽しそうに賢者の自慢話をするのでウンザリしていたのだ。」


「えっと話を戻しますね」

バームさんが話の流れを戻した。


「我が国に歴代の転生者たちが残したものは大きい事で言うと紙の製造と印刷技術、スライム研究とそれを使った衛生面の向上ですかね。転生者の残す知識はその人の好きな事や得意としている事柄のものが多い傾向があるのと技術力の違いもありあまり沢山ある訳ではありません。」


「なるほど確かにオレが詳しい作り方をわからないと伝えれないですしもし伝えれても前世とこの世界の技術力の違いで作れないのは当然ですね。」


「ちなみに賢者殿は料理を沢山伝えてくれていてアルフォート領にも最近は賢者料理のお店が増えています。」


賢者料理ってなんかやたら凄そうな料理だな


ひとまずオレを拾ってくれたお礼代わりに早速ひとつ提案をしてみようかなこう言う時の定番の物を。



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