第3話

ーアルフォート領 城内 談吾の部屋ー

「さぁここが談吾さんの部屋だよ。

生活に必要な物は一通り揃っているはずですが何か足りない物や用事がある時は机のベルを鳴らせば世話係がきますので」


オレに与えられた部屋は窓がひとつ

ベットと机と椅子のセット 棚 あとは1人がけのソファーが2つとローテーブルが1つ

1人で使うには申し分ないがちょっと広いかもしれない。


「これを鳴らすと人が来るんですね」

オレは机の上にある青いベルを鳴らしてみた

するとドアをノックする音がした


「失礼致します。お呼びでしょうか?」

部屋に入って来たのはメイド服を着た女の子


「丁度良かった、彼女が談吾さんの世話係の子だよ。」

バームさんがそう言うと女の子が

「今日から談吾様のお世話係を努めさせて頂きます、シルベーヌです。シルとお呼びください。」そう言って一礼した時に頭に耳があるのが見えた。


「うーん·····」


「あのぉ~何か私に失礼な所があったでしょうか?」


オレからの反応がなくじっと見られてる事にシルが慌てる。


「あぁーえっとごめんね。

初対面で女の子をジロジロ見るのは失礼だね。改めて今日からアルフォート様の元でお世話になる御手洗 談吾 です。

シルには色々と面倒をかけると思うけどよろしくお願いします。」


ひとまずちゃんと挨拶をした所で

「それでシル、その耳は?」


シルはハッとした様子で深く頭を下げると

「申し訳ありません。

私が先に気にかけるべきでした。人によっては亜人種を嫌う方もおりますので事前に確認をするべきでした。直ぐに別の者と変わりますので」

そう言って急いで部屋から出ていこうとするシルに向かって


「待って!別にオレは亜人種が嫌いとかでもシルの耳が嫌いとかでもないから大丈夫だよ。むしろこっちもシルの事を考えるべきだったよごめんね。」

オレは謝り深く頭を下げた


「談吾様お辞めください!頭をお上げください。談吾様が亜人種がお嫌いでなく私も安心しましたし、世話係に対して謝罪出来る程の人格者の方と言う事も伝わりましたのでシルは嬉しいです。」

さっきの慌てた表情とは違いとても魅力的な笑顔なシル


そこでバームさんが

「先に談吾さんに確認しなかった僕も悪かったね。談吾さんは転生者だから亜人に対する感情は悪くないと勝手に思ってしまっていたよ。」


「確かにオレは転生者なので亜人種の方は初めてで珍しくは思いますが悪い感情は無いですね。むしろ好ましく思います。」


それにシルはとても可愛らしい容姿であり

ショートボブの栗色の髪と同じ色の犬耳はとても似合っておりむしろ可愛さがグンと上がっているように感じる。


てか少しでもファンタジーが好きな奴にケモ耳が嫌いな奴は居ないとオレは断言できる。

まぁ個人の感想だから異論は認める。


「それでは今日はこのまま部屋でゆっくりしてもらってこれからの事はまた明日にしよう。後のことはシル任せたよ。」

そう言い残してバームさんは部屋を後にする。


「改めてよろしくお願い致します談吾様。

ひとまずお寛ぎになってください。

夕食になりましたお呼びに上がりますので

それまでに何かありましたらお気軽にベルを鳴らしてください。」

シルもそう言って部屋から出て行った。


「はぁー何とかこれで一息付けるな」


夕食までやる事もないのでベットに横になり

一旦頭の中で整理しよう。


オレが今いる部屋は城の西側にある。

西側はそもそも来客用の部屋などがある場所で普段はあまり使う事がないそうだ。

逆の東側には使用人たちの部屋がある

そしてさっきまでいた応接室は中央部にあり

中央部の下の方に食事をする部屋や図書室等があり中央部の中ほどに応接室がある、中央部の上の方にルマンド様たち側近の方々の部屋がありそして中央部の最上階にアルフォート様の私室があると言う構造のようだ。


てか城なんか初めて入ったし正直よく分からん。まぁそんな事も明日以降バームさんが教えてくれるのだろう。


整理すると言っても分かってる事がまだまだ少なすぎて何も出来ん。

強いて言うなら当面の目的は転生者であり、まだ何も出来ないオレを心良く受け入れてくれたアルフォート様やこの城の方々に少しでも恩返しが出来るようになると言う事だ。


あとはせっかくの異世界での人生なら少しでも楽しみたい!前世ではブラックな会社のせいで楽しい事なんて全くなかった訳だしな。


その為にも学べる事は全て学び身に付けゆくゆくは旅でもしながらのんびりと暮らせれば満足だな。


それにシルと言う犬耳がいるって事は他にも魅力的な種族も居そうだし色々と楽しみは多そうだな。

そんな事を考えるているといつの間にかオレは眠ってしまった。

思っていたよりも身体はなれない環境で疲れていたようだ。


コンコン!

ノックの音で目を覚ました。


「談吾様、ご夕食の準備が出来ました。

ご案内を致しますのでご準備ください。」


「わかった。今行くよシル」


そう言うと部屋を出てシルと食堂へと移動した。



ーアルフォート領 城内 食堂ー


「おぉ談吾殿こっちだ」

ルマンドさんが隣の席を進めてくれた。


「ありがとうございます。アルフォート様はまだですか?」


「そろそろ来ると思いますよ。」

ルマンド様の向かいの席にバームさん


「待たせてすまんな。」

直ぐにアルフォート様も来たようだ。


「さて今日は談吾よ、今晩はお主が来た祝いだ、存分に楽しんでくれ。」


「アルフォート様ありがとうこざいます。

ちなみにこの4名のみなのでしょうか?

他に側近の方などは居ないのでしょうか?」


「そうだな。少し説明しようか。現状の領地の事や城の人の少なさの訳を」


何やら平和そうなこの地にも問題があるのだろうか?





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