第6話

徹夜でオセロに付き合うとは思っていなかったので疲れたが昼頃には職人達が来るらしい

それまでは自室で休ませて貰う事にした。


部屋に戻り、ベルを鳴らす。


コンコン ノックの音と共に

「失礼致します。お呼びでしょうか?」

シルが直ぐに来てくれる。


「シルすまないがお茶を入れてくれ。

昼からはまた忙しくなりそうだから今の内にひと息つきたい。」


「かしこまりました、直ぐにご用意致します。」

シルが入れてくれたお茶は色は赤いが味はコーヒーその物だった。

「シルこちらではこのお茶が普通なのか?」


「いいえ、そちらは最近流行っているコーヒーと言う飲み物です。談吾様が寝ておられないとの事なので眠気覚ましにコーヒーに致しました。普段は紅茶が主流ですね。」


なるほど流石が世話係だ。オレの状態を考えた飲み物を用意してくれた訳だ。


「なぁこちらではコーヒーは赤い色で伝わっているのか?」


「はい、本来のコーヒーは黒や茶色らしいんですよね?私も詳しくは分かりませんが原材料の豆の関係でこちらでは赤色のコーヒーだそうです。私たちが普段飲むのは紅茶なので色が似ているぶん飲む事への抵抗も少なく済んで沢山広まったと聞いています。」


「確かになぁ知らない人からしたら黒い飲み物には抵抗感があるよなぁ」


「私も休憩中に最近はよく飲みます。」

シルは耳をピコピコさせながら話をしている。バースさんに聞いたがシルのような亜人の中でも獣人種は耳や尻尾で感情が読めるそうだ。

シルの場合、耳ピコピコは嬉しい時や楽しい時、耳が立っている時は緊張や真面目な時、逆に耳が垂れている場合は悲しい時などらしい。


いい機会だしちょっと神眼を使ってみるか。


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シルベーヌ 15歳

種族 亜人 (犬の獣人) レベル5

HP30 MP30 攻撃力20 防御力20

素早さ70 知力20

スキル

家事(中) 槍術(下) 脚力(中) 嗅覚(中)

魔法 適正属性 水

ウォーター(下)

固有スキル なし

称号

アルフォート家使用人 メイド長の弟子

転生者の世話係

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素早さのステータスが高いのは種族的な物かな?後スキルの嗅覚なんかもそれっぽい。


「シルはまだ若いのに所作がとても綺麗だが他の使用人もそんなものなのか?」


「私はメイド長が直接指導して下さるので他の使用人よりも少しだけ違うのです。」


「メイド長さんから直々にとはとても期待されているんだな」


「はい、私には両親が居なくて育てくれたのもそのメイド長なのです。だから私にとっては師匠であり親なのがメイド長なのです。」


メイド長さんの話をする時のシルはとても誇らしげでそれでいて暖かさを感じる。

それだけメイド長さんが大好きで大切なのだろう。


「実は今回談吾様のお世話係は1人前になる為の試験でして初めて1人でのお仕事なのです。談吾様の滞在中に滞りなくお世話をこなせればメイド長から1人前として認めて貰えるのです。」


「なるほどね、ならシルが少しでも楽になるようにあまりお世話にならないようにするな」


「それはダメです。それでは試験になりません。楽してお世話してもメイド長には直ぐわかりますしむしろその分更に試験が増えるかも知れません。なので私の事を思ってくださるなら普通に過ごしてください。

なんなら色々わがままを言って頂いても構いません!」


「そうか?なら普通にしてるよ。わがままも思いついたら適当に言うよ」


オレがそう答えるとシルは黙ってオレを見つめてきた。


「ん?何か変な事でも言ったか?」


「あっ!いえ、失礼しました。

その…談吾様は本当に亜人に対して何も思わないのですね。」


「そうだなぁ、何も思わなくはないよ。今もシルの犬耳がどんな感じか気になってるし」


「ふふっ 耳が気になるなら言ってくれればいくらでも触って頂いて構いませんよ?

談吾様にはやらしさを感じませんし。」


「やっぱり亜人に対してそう感情を持つ者は多いのか?」


「そうですね。ブルベン王国はとても亜人に寛容な国ですが世界的には亜人の地位はまだまだ低いのです。差別はありますし国よっては奴隷にされたりもします。

特に女性の亜人は性奴隷とされる事が多いで

すね」


「確かにオレは亜人をまだシルしか知らないがシルように可愛い子が多いならそう言う考えになるのも理解は出来なくないな」


「なので正直、私は談吾様もそう言う事をご所望されるかもしれないと覚悟をして居たのです。でも談吾様はアルフォート家の皆様と同じように優しく普通に接して頂けます。

先程わがままをと言う話の時も全くやらしさを感じませんでしたのでついじっと見てしまったのです。」


「勘違いが無いように言っておくがシルに魅力がないとかではないぞ!ただオレは亜人だからとか女だからとかで判断しないだけだ」


前世ではそう言う理不尽な事や差別的な事をいやと言う程、会社で見てきてオレはこうはなりたくないと強く思うようになった。この考え方だけは唯一ブラック企業に勤めて得た事だなと思う。


「私の初めての方が談吾様のようなお優しい方でとても良かったです。至らない所もあると思いますが精一杯勤めさせて頂きますので改めてよろしくお願い致します。」


「言い方に少し違和感を感じるがこちらこそよろしく」


コンコン、ドアをノックする音がする

「どうぞ」

扉が空くとバースさんだった。


「職人の方々がそろそろ到着するので呼びに来ました。大丈夫ですか?」


「わかりました、直ぐに向かいます。

じゃあシル行ってくるね、コーヒーありがとう」


「はい!行ってらっしゃいませ」


メイドさんに見送られるのは初めてだけど悪くないな、今ならメイド喫茶に行く人の気持ちがわかる気がする。


そんな事を考えながら応接室に向かった。




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