第18話 救出
「…何…笑ってんだ?」
「は!?」
「そんな短い刃で俺の脂肪を貫けると思ってたのか?
俺の怒りを収められると思っていたのか?
舐めてんじゃねぇぞ!!糞野郎!!!」
勝は絡められていたチェーンを逆に握り返して
力いっぱい手を振り回し、チェーンで抑えていた手下達を吹っ飛ばした。
「うぎゃあああああああ!!!」
「なっ!?」
そして唖然としてた鮫島兄のお腹に向けて掌底を放った。
「ぐっぼぉああああ!!!」
鮫島兄視点:
ボゴォ!!!メリメリメリ!!!
俺の腹の中は、これまで聞いた事のない衝撃音が響いた。
俺は胃の中に入っていた物を全て吐き出してしまった。
そして急いでお腹を確認した。
お腹が抉れた感覚を覚えたからだ。
お腹は…ある…
安堵したと同時に信じられないくらいの寒気を感じた。
目の前のデブ…いや…鬼が
掌底を俺の顔に向けて放とうとしていたからだ。
まるで顔の前に大砲でも向けられたような気分だ。
顔面にこんなもの喰らった鼻が骨折する?眼底沈没する?
いや…そんな程度じゃすまない…間違いなく顔が吹っ飛ぶ!!!
急いで避けようと考えるが…体が硬直して…動かない…
何だこれは!?
俺は一体どうしてしまったんだ!?
…そうか…俺は今…震えているんだ…
俺は今まで弱者から一方的に搾取する側だと思っていた。
王様のつもりでいた…
だから死や恐怖を感じたことがなかった。
けど…今は…死がとてつもなく恐ろしい!!!
そうだ…思い出した…
恐怖を感じたことはあったんだ!!!
…5年前…当時小学校だったこいつからとてつもない恐怖を感じて…
1年間記憶がなくなっていた事を思い出した…
俺はこいつの顔に大怪我を負わせたが…
俺は生まれて初めての恐怖で心を壊されたんだ…
ああ…何で忘れてたんだろう…
俺は絶対に触れてはいけないものに再び触れてしまったんだ…
俺は絶対強者などではなかった…
・・・
「やめてぇぇぇ~~~!!!マー君戻ってきてぇ~~~!!!」
「だ…旦那様~~~!!!」
ドゴーーーン!!!
俺は5年前にも叫ばれた幼馴染みの当時と同じ言葉と如月さんの悲痛な叫びで
我に返り、掌底を糞野郎の顔ではなく地面に叩きつけた!!!
地面に亀裂が入った。
ダダダダダダ!!!
警察だ!!!全員動くな!!!
警察官は10人くらい駆け寄ってきた。
鮫島 明人だな?
傷害・恐喝・薬物乱用・婦女暴行・誘拐未遂…数々の逮捕状が出ている!!
署まで連行する!!!
鮫島兄は恐怖のあまり下半身を濡らしていて既に何も考えられない状態になっており
そのまま警察官に連行された。
気絶していた男達も集まって来た警察官に連行されて行った。
そして俺と白石は…
「マー君!!!マー君!!!無茶しないでって約束したのに!!!バカ!!!」
「旦那様!!旦那様!!!しっかりして下さい!!!」
「お姉ちゃん~~~!!!」
白石と共に救急車で病院に搬送された。
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