第19話 5年前の真実
白石視点:
小学校6年生の時の悪夢のような事件…
私は穢されてしまった…
もしも私が強かったら運命は変わっていただろうか?…
そう想い…私は中学から空手を習い、一生懸命打ち込んだ。
有段者となり強くなったつもりだった。
けど…私を穢した張本人を目の間にした時に
あの時と同じように身体が動かくなった…
私は…強くなどなっていなかった…
そんな事をボンヤリ考えていると…
母と七海、それから如月と成瀬がお見舞いにやって来た。
「お姉ちゃん~~~!!!」
「…七海…心配…かけてごめんな…大丈夫だったか?」
「うん…お姉ちゃんが連れ去られた後、また襲われそうになったけど
巨人のお兄ちゃんとこのお姉ちゃん達に助けてもらったの…」
「そうか…ありがとうな…如月、成瀬…」
「私たちはほとんど何もしてないです…助けてくれたのは…旦那様です。」
「そうか…後で…桐生にもお礼を言わないとな…私自身も助けてくれたし…」
「それにしても…何の因果か…またあの下衆な男が絡んできて…
同じようにあの子に助けてもらうとはね…」
母さんが感慨深く言った。
「また?って…どういう意味?母さん?」
「あんたは気絶していたから分からないだろうけど…
小学校の時もあんたは、あの子に助けてもらったんだよ?」
「え!?どういう事?私は…穢された…はずでは…?」
「…お前がショックを受けていたから思い出さないようにと
はっきりと言わなかったけど…
お前は小学校の時…穢されてなんかいないよ?
寸前であの子に助けてもらったんだよ?今回と同じように…」
『『 え!? 』』
「白石さん…5年前の幼女誘拐暴行事件…あの現場に貴方はいたのですか???」
如月が珍しく驚愕した顔で質問してきた。
「…ああ…」
「実は…私も…居たんです…」
『『 え!? 』』
成瀬まで驚愕の顔をしてきた。
「如月さんが小学校の時にマー君に助けてもらったって
この事件の事だったの!?」
「私も…居たんだよ?…
こんな偶然が…」
「でも…どうやら私達全員…あの場にいて…
攫われて怖い目に遭ったけど…
マー君に助けてもらってたんだね…」
「何ですって?じゃあ、あの現場の女の子達は貴方達だったの!?」
白石の母も驚愕するしかなかった。
「ううっ…うあああああ!!!」
白石は真実を知って溜めていた感情が溢れてしまった。
長年悩んでいた事…自分が穢されていなかった…
ようやく悪夢が拭えた感じがした…
泣いていた白石を如月と成瀬はそっと寄り添い、優しく抱きしめた。
「辛かったですよね…うん…分かります…私もまだ辛いですもの…」
「大丈夫…もう…大丈夫だよ…私達は…心の傷はまだ癒えてないかもしれないけど…
大事なものはマー君に守って貰えた…
私達は…上を向いて歩いていけるはずだよ…」
「うん…うん…」
事件の当事者だからこそ理解し合える不思議な感覚を3人が持っていた。
「…後でお礼にいかなくちゃ…勝君に…」
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