第13話 不良美少女の戯れ

鮫島が勝の顔面とボディに殴りかかる。

勝は顔面の方は手でガードをしていたが、ボディの方は鮫島に殴られていた。

ドガッ!ドガッ!ドガガっ!!


「だ…旦那様!!に、逃げてください!!

 だ、誰か先生を呼んできてください!!」


「もう辞めて~~~!!」

悲痛な叫びと共に如月は鮫島を止めようと近づこうとするが

それを成瀬に止められた。


「な、何で止めるんですか?旦那様は死んでしまいます!!」

成瀬は小声で言った。

「今先生を呼びに行って貰っている。

 少しの間だけならば…マー君は絶対に大丈夫なの…

 私や如月さんが近づくと余計に危ないから離れていて。」


顔面のガードが固いので必然的に鮫島の攻撃はボディに集中される。

1分…2分…3分…これだけ殴っているのに一向に勝は倒れない。

そのうち…


「はぁ…はぁ…こ、この豚野郎!!無駄に足掻くんじゃねぇ!!」

鮫島の方が少し息を切らし始めている。


「ふっ…あはははは!」

不意に教室に笑い声が響き渡った。


鮫島がキリッと笑い声の方に目を向けた。

不良美少女 白石 渚 が興味深そうに勝を見つめ、近づいてきた。


そして不意に左足のミドルキックを勝のお腹に向けて放った。

ドガッ!!!

勝は初めて、手でお腹をガードした。


「あはははははは!!やるじゃねぇか!豚!」

白石は嬉しそうに笑った。


「てめぇ!白石!!何勝手なことしてんだよ!!」


「そんくらいにしとけよ!鮫島!

 あんたじゃ、その豚には勝てねーよ!

 自分でもおかしいってわかってるんだろ?」


「はぁ!?空手の有段者だからと言って、調子に乗ってんじゃねぇぞ!!白石!!

 てめぇも犯してやろうか!?」


そう言った瞬間に

白石は左のミドルキックを鮫島のボディに放った。


ドゴッ!!!

鮫島は悶絶して蹲った。


「さっきこいつに放ったミドルキックをお前にもしてみたよ。

 で…わかったろ?私の蹴りは決して軽くない。

 別に鮫島…てめぇが弱いわけじゃなく、

 私の蹴りを喰らえば、大概お前みたいな状態になるはずなんだ!

 でもこの豚はそんな私の蹴りを軽々と防いだんだ…

 それがどういう意味か…頭の悪いお前でも分かるだろ?」


ドタドタドタドタ、ガラガラガラ。

「おい!!お前たち何やっている!!」

先生方がようやく教室にやってきた。


「鮫島!またお前かぁ!!

 今度やったら退学ってあれほど!!

 って…あれ?大丈夫か?鮫島!」


「ううっ!!」

先生方は、蹲っている鮫島と顔が腫れている陽キャ男子を保健室に連れて行った。


「あははは…久しぶりに学校に来たらこんな面白い騒動に遭遇するとは…

 偶には学校来るのも良いもんだな。

 おい…豚…お前気に入ったよ。

 また今度会おうぜ。」


白石は教室から出て行った。


「だ、旦那様!!大丈夫なんですか??本当に本当に…心配したんですよ…」

如月さんは半泣きで叫んだ。


「問題ないでござるよ…ちょっと腕がしびれているだけでござる…」


「マー君…ごめん。鮫島は大丈夫だと思ってたんだけど…そんなにだったの?」

「ああ、あの白石って女の子は別格でござった。

 まともに受けたら小生でもちょっと自信なかったから

 思わずガードしてしまってござる。」


「旦那様…本当はこんな事考えてはいけないんですが…

 守って下さり、本当にありがとうございました。

 とても…嬉しかったです…それに…かっこよかった…です。」


「…私は…正直…マー君の強さ知っていたから…それほど心配はしてなかった。

 でも…不謹慎だけど…嬉しかったよ…改めて…惚れ直した…」


「二人とも…暫く一緒に登下校するでござる…

 ちょっと流石に心配でござる。

 小生ならば…見ての通り多少は丈夫なので、

 二人の盾くらいならなれるでござるので…」

小生は二人を安心させるように笑った。








 

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