第7話 小さい頃の結婚の約束

「マー君…覚えてない?

 私達…小さい頃…結婚の約束してたんだよ?

 私はずっとずっと…今まで覚えていたんだよ?」


「え?え?えええっ~~~!!」


「やっぱり…覚えてない…か…」


「い、いや…でもそれは幼稚園の頃の約束ではござらんか?」


「!?覚えていてくれたの?う、嬉しい!!」


なっちゃんは本当に嬉しそうに涙汲んで小生に微笑んだ。


「…しかし…小生はと一緒にいると…なっちゃんに迷惑が…」


「迷惑なんてない!そんな事絶対にない!

 その事については…むしろ私のせいだし…」

なっちゃんが切なそうな顔をするので


「…なっちゃんのせいではないでござるよ…

 それについてはなっちゃんがそこまで言うならば何も言わないでござる…

 ただそれ以外にも…小生は…一応今…如月さんとお付き合い(仮)という

 状態でござって…」


「それについては、つい最近の約束でしょ?

 私の約束は13年前の約束だよ?

 私との約束の方が先だったんだから…

 私にもマー君とお付き合いする権利があると思うのだけど…

 それにあくまで如月さんとは仮なんでしょ?」


「ううっ~…確かに先に約束したのはなっちゃんの方でござるな…

 仮も確かに…

 分かったでおじゃる…

 ここは一つ正直に如月さんに話してみるでござる…」


「まあそれは兎も角…久しぶりなんだし…

 幼馴染みとして一緒に登校しよ♡

 それなら良いでしょ?♡」


「まあ…それなら…そうでござるかな?…」


なっちゃんはその言葉を聞くとおもむろに小生の手を繋いできた。


「え?」


「幼馴染なら当然手を繋いで登校するよ♡

 何もおかしくないよ♡」


「そ…そうでござろうか?

 …まあでも確かに小学校の時も手を繋いで登校していたでござるな…」


「マー君耳を貸して♡

 ふふっ♡私嬉しい、本当に嬉しいよ♡

 今日、勇気を出して待っていて良かった♡」

なっちゃんは囁くように言って


「許してくれて…また幼馴染になってくれて…ありがと♡ちゅ♡」

突然、小生の頬にキスをした。


「えええええぇぇぇぇ!!!」


小生の顔はやかんのように沸騰した。


「そんなに恥ずかしがらなくても~♡

 昔は良くしてたでしょ♡」


「そ、それは幼稚園の頃の話!!!

 今は刺激が強すぎるでござる~~~」


「も~~~う…マー君は相変わらず純だな♡」


はたから見るとカップルにしか見えないのではござらぬか?…

という不安をよそに

学園の校門までなっちゃんは手を繋いで、離す事はしなかった。


当然周りの様子は昨日と同じく殺伐とした雰囲気…

「えええええぇぇぇぇ!!成瀬さんとあのデブが!?何で!?」

「昨日から何が起きているんだ!?ハルマゲドンの前触れか!?」

「え?如月さんだけでも驚愕なのに…何なの!?」


たまらず陽キャグループの男子が

「おい!豚の癖に調子に乗りすぎじゃねぇのか?

 てめぇなんかが如月さんもそうだが、

 成瀬さんと手を繋ぐなんてありえねぇんだよ!」


いや…本当にその通りでござると苦笑いをしていると…


「ちょっと、私とマー君は幼馴染みなの。

 手を繋ぐなんて普通よ。

 貴方こそ私達に何の関係があるの?

 そもそも…マー君の事豚なんて言わないで!」


如月と違い夏美は感情をさほど表さないクール系美女と言われている。

その夏美が感情露わに怒ったのだから陽キャはたじろいてしまった。


「ええ!幼馴染み?この豚と成瀬さんが!?」


「そうよ。だから私達に構わないで!」


・・・


「うそ…」

その様子を遠くから驚愕しつつ眺めている影があった。

桐生 勝 の現お付き合い(仮)如月 遥 であった。









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