第3話 夢じゃなかったの!?

変な夢でござった…

小生は心の平穏のために昨日のあり得ない怒涛の一日を

夢だったという事で片づける事にいたした。


そしていつもと変わらず学校へ行った。

教室に入るといつもの風景が…


「遥ちゃん、おはよう~♪」

教室の中央では学園で一二を争う美少女天使様 如月 遥 を中心に

陽キャのクラスメートが集まり、朝から楽しそうに騒いでいる。


何だ…やっぱり夢でござったか…


「ん?遥ちゃんどうしたの?何か顔赤くない?」


…ん?…


気になる言葉が耳に入った気がするが、午前中は何も起こらなかった。

だが、平穏な日常は昼休みに突如なくなった。


「遥ちゃん♪食堂行こう?」

「あれ?遥ちゃん…お弁当がいっぱいあるね…どうしたの??」

「ん?ひょっとして皆の分!?」

「うっそぉ~!だとしたら超感激なんだけど!!」


声が大きいので教室中に勝手に内容が筒抜けだ。

俺も、茫然と へぇ~…そうでござるか… と思った。

が、様子がおかしい。

「!?遥ちゃん…どうしたの??」


「み、皆さん…ごめんなさい。

 本日から皆さんとはお昼をご一緒出来なくなりました!」

「ええ~!?どうしたの??遥ちゃん!」

陽キャグループの悲鳴にも近い声が教室中を駆け巡った。


そして、顔を真っ赤にして如月さんはどんどん小生に近づいてくる。

え?え?え?ま、まさか…小生の所に!?


「き、昨日は本当に申し訳ありませんでした。旦那様!!」

「だ、旦那様~!?」


混乱した小生は思わず大きな声をあげてしまった。


え?昨日の出来事が夢でなければ、最初何故かプロポーズされたけど、

とりあえずは、お付き合い(仮)にならなかったでござるか!?

お付き合い(仮)を旦那様って呼ばなくちゃいけない法律ってあったでござるか!?

それ以上に…昨日の出来事はやっぱ夢じゃなかったでござるか!?


い、いけない…頭が追い付いつかないが、

教室中が天変地異でも起こったの如くとんでもない空気感になっているでござる。


クラスメートが見ていようと関係ないでござる。

もう…やるしかないでござる。

必殺の土下座を!!

「小生身に覚えはございませんが、何かご迷惑を?

 兎に角…大変失礼いたしましたでござる~!」


「きゃあああ~~~!土下座なんてしないで下さい!!

 頭を上げてください!!

 旦那様は何も迷惑なんてかけておりません!

 その…昨日から…私達…お付き合いしたじゃないですか…」


『『 はぁ!? 』』

教室中の誰もが状況を理解できない空気になっていた。


「なので…あのですね…本日は、ランチをご一緒しようと思いまして、

 お弁当を作ってまいりました。

 ご一緒頂けませんか?」


教室の空気を感じていた俺は思わず

「そ、そんな恐れ多い事を小生は…」


如月さんは上目遣いで

「ダメ…ですか?」


「えっ~~~と~~~」


「お願い…します…」

更に涙ぐみながら懇願してきた。


「な、泣かないで下され!はい。喜んで鬼ヶ島でも何でもお供致すでござる!!」


「ありがとうございます!!

 それにしても鬼ヶ島って…フフッ(天使の微笑み)、桃太郎じゃないんですから。

 まあ確かに犬は飼っておりますが…」


「あっ…それでですね…昨日お好みとかをお聞きする時間がなかったものですから

 とりあえず、和、洋、中、イタリアン風と4種類のお弁当を用意いたしました♪

 今後の参考に是非感想などを頂けるとありがたいです♪」


意気揚々と4つのお弁当を広げ始める如月さんと

全く動けないクラスメート、特に陽キャグループとのコントラストの差が凄かった。

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