第6話 契約の恐怖
校内の事である。マブダチのリサが学年主任に注意されている。
「何だ、その銀髪は、強制はしないが黒く染めろ」
「ブラック校則など時代遅れです」
まーあ、この息苦しい時代の良き点として校則が緩くなるのは歓迎すべき事柄だ。
しかし、学年主任は仁王立ちである。ここは助けよう。
「先生、綺麗な銀髪よりガーターストッキングの方を注意しては?」
黒いタイツと言うかストッキングと言うか微妙な品物である。これを注意しなくて何が校則だ。そんな事を思いながらリサの様子をみると、リサはスカートを上げてセクシーな太腿を露わにする。
「これ以上はセクハラ教師として訴えますよ」
ひいいいいい……。
学年主任は逃げて行った。
歩く小学生のリサなのだが悪知恵は持っているらしい。
うん?
スクールバックの中からアリシアが出てくる。
「アリシアは学校での生活はどうであった?」
わたしは簡単な質問のつもりでアリシアに問うてみる。
「うーん、楽しかったぞ、学費が払えなくなって辞めるまでは」
ブラックな現実だなー、普通はドレスを買うのを止めるだろうに。
***
とある、夕刻の事である。自室でまったりとしてしると。不意にアリシアの事情が知りたくなる。
「アリシア、しきたりのメイド五人は仕方がないにしても、ドレスの数が多すぎないか?」
「そんな事はないぞ、レンタルなので売る事もできないだけだ」
そそれは笑顔で言う事でなかろう。それにしても、月三十着はどうかと思うのであった。
「詳しく説明すると、昔、まだ、地主として納める固定資産税が安かった頃、街の商工会の嘆願でドレスを月三十着のレンタル契約を結んだのだ」
それが永続契約だったのか……。
伯爵家で大地主とは言え、しがらみが多すぎる。
「うん?我が家系に妥協という文字はない」
わたしは黒猫の姿のアリシアをナデナデする。
同情ではなく気高きアリシアに対する敬意である。
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