第5話 水着祭り

 ここで必要なのは水着だ!冬の日にわたしは自室で叫んでいた。


「おおお」


 遊びに来ているリサも大興奮です。そうなのだ、この世界にいる理由は水着でモテモテになりたいからだ。


 それ、暖房マックス!


 エアコンとストーブをつけて温まるのを待つ。その間に水着を選別する。


「スクール水着はベタだし、赤のビキニも悪くない。リサは決まった?」

「はい、バニーガールスタイルで行きます」


 タイツが太ももまでのガーターベルトが自由な水着テイストが出てますな。


 うんうん、冬の寒い日に水着を着る、ハイテンションに成りまくりです。


「これがこの世界のハイテンション祭りなのか?」


 アリシアは不思議そうにしている。まー極貧のアリシアには分からないだろな。


「ドレスは月に二十着は新しい物を買うし、年に一度の海へのバカンスに水着は三十着ほど買うので飽きてしまうのだよ」


 アリシアのセリフに思わずパットを探す。


「落ち着け、落ち着け、ご飯は麦メシと野菜スープだけだ」


 わたしは座禅をして精神を統一する。これは己との闘いだ。アリシアに嫉妬する気持ちを落ち着かせる。


「あー世の中広いな、アリシアの様な人種もいる。あれ?異世界転生だから、この世の話でないか」


 返事がない、ふと、リサを見ると。姿鏡を見て自分の世界に入っている。銀色の髪に身長は高く、たわわなバストに引き締まったヒップ、正にスタイル抜群であった。


 そう、リサのセクシーな水着姿は誰もが目に止まる。これで歩く小学生でなければマブダチにはならない。


「夏樹、寒い、この水着は体温を奪う、冬に着るものではない」


 ま、ヒートテックに比べれば寒いわな。わたしは黒のビキニ姿を鏡自撮りして着替えるのであった。そして、ストーブの前に行きぬくぬくする。リサもガーターベルトのバニーガール水着を脱ぐ。


 わたしは自撮りした水着姿の写真をリサと交換する。あれ?普通にリサの水着姿を自分の携帯で撮ればよかったのか……。


 それに気がつかない、リサもリサである。


 やはり、歩く小学生だ。


「水着はもういい、おやつにしない?」


 黒猫のアリシアが物欲しげに言う。この猫、この世界の普通の食べ物がかなり気に入った様子である。


 ここはとっておきの雪見だいふくである。冬の旬の食べ物、この雪見だいふくをストーブの前で食べる。


ううん~贅沢な一時だ。


 そして、皆に雪見だいふくを配るとわたしとリサは無言で食べ始める。流石に、猫の姿のアリシアは食べにくそうである。しかし、アリシアは『美味い、美味い』と連呼する。何故、おやつの甘い菓子が買えなくなるまでドレスを買う?これが異世界の常識なのであろう。わたしは小首を傾げて雪見だいふくを食べるのであった。

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