第18話 食事会②
フルールと話しながら壁に張り付いている。
「しかし、フルールが居ると他の令嬢が寄ってこないから助かるよ」
「そうですわね…私は拷問と暗殺が得意…それを知っているからこそ貴族からは嫌われていますから、普通は寄ってきませんわ…ですがリヒト様の魅力は凄すぎますわね」
確かに話しかけてこない。
だが、遠巻きにこちらを見ている貴族令嬢がいる。
この場からフルールが離れたら、こっちに来そうだ。
「俺はあんなのに興味が無いから、どうでも良いな…」
フルールの顔がほんの少しだけ赤くなった気がするが、まぁ気のせいだろう。
「貴族や他の異世界人に興味が無いのは解りましたが、他の仲間はどうするのですか? 流石に二人では足りませんわ」
「確かにな、俺はこの世界の事情に乏しい…フルールにとって一緒にパーティを組みたい、そういう人間は居るか、もし居たらどんな人間か教えて貰えないか?」
フルールは首をかしげて考えている。
「そうですわね、勇者パーティを考えると 勇者 聖女 剣聖 賢者とバランスが良く4人でとれていますわ。この中でリヒト様が『勇者』私はこれでも薬学が得意なので『聖女』の真似事は出来ますわ。そう考えたら必要なのは『剣聖』か『賢者』ですが、リヒト様はレベルが高く魔法はお使いになれますわ…そう考えたら『剣聖』に代わるような人物が好ましいと思いますわ」
問題はそういう人物が居るかだな。
「それで、フルールはそう言った人物に心当たりはないか?」
「心当たりはあるのですが…処刑されてしまっている可能性も高いのですわ、良かったらもう一度牢屋に行きませんか?」
「フルールに心当たりがあるなら、後で話を通して行ってみるか?」
「そうですわね」
俺はリストに目を通したが、それらしい人物は居なかった。
なにかあるのかも知れない。
◆◆◆
暫くすると王であるハインリッヒ4世とマリアン王女が参加してきた。
だが、なにか話す様子はない。
あくまで親睦会なのだろう。
「特に王族がなにか挨拶するわけでは無いのか」
「恐らくは顔出しだけして、すぐに去って行くと思いますわね」
フルールが言う通り二人は直ぐに去っていった。
「良く解るな」
「恐らくは、この親睦会は、貴族と異世界人の交流会なのですわ…そこに王族がいたら委縮して楽しめませんから…まぁ顔を出したのも、恐らくはリヒト様に王族も出席するのだからと出席させる為の手段ですわね」
「確かに、そう説得されたな」
「ええっだから、出席はしたのですから、適当に引き上げても問題ありませんわ」
確かにそうだが…折角この場に居るのだから…何か出来ることは無いか…
「少し会話をしてくる」
「物好きですわね」
良い事を思いついた。
「皆、楽しんでいるようだね」
「貴方はリヒト様…おお話できて光栄です」
「良いかい、君たちの世界では解らないが、これは単純な食事会じゃなく『後ろ盾』を見つける為のものだと思う…出来るだけ貴族と親しくなって、もし嫌いで無いなら同じ世界の仲間でなく貴族の令嬢や子息の中から組める相手を探した方が良いと思う」
「本当ですか」
「支援してくれる相手がまず必要だからな、それに話を聞くと随分安全な場所から来たのだろう…戦闘経験のある相手を選んだ方が良いよ」
「教えて頂いてありがとうございます」
俺は適当に回り…異世界人同士で組まない方が良いという話をして回った。
更に、奴隷についてもだ…
これで恐らく同じ日本人同士組む率はずいぶん減るかも知れない。
本当に頼れるのは本来は『仲間』だ。
勇者パーティは崩せないが…これで随分と可笑しなパーティが出来上がるだろうな。
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