第4話 ひつじとひつじの餌

「ふぅ、お腹いっぱいだねっ!」


 わたしは牛乳とミルクラーメンでだいぶ満腹になった。


「あ、顔洗ったりしてこよっかなあ、牛乳かかって拭いただけだしっ」


『流石にりょう君にこんな顔ずっと見せれないよね』


「そうだな、トイレとかも行っておかないと混んできて並ぶの嫌だしな」


 わたしと亮君はトイレの前で別れる。


「私、お化粧なおしで時間かかると思うから、りょう君はお土産のところとか見といてねっ」


「わかったよ」


『そんなに厚化粧じゃないから時間かからないんだけどね』


『お土産特に渡す人もいないな~』


 トイレを出たら亮君が待ってくれていた。


「りょう君どうしたの? お土産は?」


「あぁ、あとから二人で見たらいいかなって。トイレも中で混んでたからさ」


「そっか、これからどうしよっか、バター体験まで少し時間あるし、一緒にお土産見る?」


『亮君があきないようにスケジューリングしたけど、ここは時間余るよね』


 何故かキョロキョロしている。


「あ、あれやりに行こうよ、ひつじの餌やり!」


 亮君が看板を指差した。


「いいね~、私たちもお昼ご飯食べたところだから、ひつじさんもお腹すいてるかもだねっ!」


『ひつじのご飯て美味しいのかなあ?』


 ひつじの牧場で餌を買ってせんべいを4枚ずつもらう。


「りょう君、これひつじさんの大好物なんだって。絶対美味しいよね」


 わたしは食べたくて仕方ない。


「それはりりの食べるものじゃないだろ」


「ちょっと味見ぐらいならさ~」


「だめだよっ、ひつじさんに怒られるぞ」


「メェ~、メェ~♪」


 ひつじのマネをしてみた。


「りり、何してんの?」


「ひつじになったら、りょう君がせんべいくれるかなって」


「そんなことしてもダメなものはダメ! さあ、せんべいあげに行くぞ」


 なんか亮君がそっぽ向いた。


「りょう君待ってよ~」


「ほら、早くしないとバター作り体験に遅れるから」


「わかったよ~っ」


 ひつじは眼を輝かせて、せんべいを待っていた。

 わたしはどうしたらいいかわからず迷った。


「ちょっと待ってよ~っ、りょう君助けて~っ」


 すぐに白いモアモアに囲まれた。


「りり落ちついて。せんべい割って少しずつひつじの口にもってけ」


「ひょぁゃあ」


 ひつじに手を舐められ、なんか変な声が出た。


「こっちだよ」


 亮君は近くにきてくれて、ひつじたちにせんべいを見せてる。


 ひつじたちが亮君のほうに集まる。亮君はせんべいを割って地面に散らす。


「大丈夫か、りり」


「ビックリしたぁ、ひつじさんの舌の感触がなんか凄かったの」


「変なやらしい声出てたな」


「そんな声じゃないしっ」


『恥ずかしい』

 亮君をポカポカ叩いた。


「でも、せんべい食べてたらりりの口舐められたかもしれないぞ?」


「いただきますっ! しなくてよかったぁ」

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