彼氏の食欲のなさに飲み込まれた結果、わたしは人生を狂わされる

第5話 バター体験とソフトクリーム

　ひつじに舐められたので念入りに手を洗う。

『はやく切り替えないとっ！』

「よしっ、りょう君、バター作り体験にいこっ！」

　水に流してやった。

　指示された場所に座る。机には白い液体が入った三百ミリリットルボトルが置かれている。

　生クリームが入っていて、このボトルをひたすら振り続けるとバターが出来上がるらしい。

『このままでも美味しそう』

「フレッシュバターはどんな味かなあ」

　わたしは初めての体験だから期待する。

五分後……

　わたしも亮君も『はぁはぁ』言いながらボトルを振り続けている。最初は会話をしながらだったが、途中から無心になった。

八分後……

　だいぶ中でコロコロなりだしたので見てもらう。わたしも亮君ももう少しのようだ。

　一分後、そろそろいいですよ。とお墨付きをもらった。

「はぁ、はぁ、やっとフレッシュバター食べれるね」

「はぁ、はぁ、だな。なかなか疲れたな」

　かなりハードだった。

　牧場の人がご褒美ですよ。とミニトーストとクラッカーと塩をもってきてくれた。

「やったあ！」

　わたしはかなり嬉しくて子供のように喜んだ。

　塩は好みでフレッシュバターにたすらしい。

　わたしは早速トーストにフレッシュバターを塗る。

「フッフ、フッフ、フ～♪」

『あ、鼻歌もでちゃった♪』

　亮君がチラチラ見てわたしの真似をしている。

「じゃあ～、一緒に～」

「「いただきますっ！」」

　わたしと亮君はいつもどおり声を揃えたら、牧場の人にあら、あら、まあ。と微笑まれた。

『さすがに恥ずかしい』

　いつもどおり亮君はわたしの様子を見てる。

『サクッ』

「クリーミーで自然な甘みとコクと、ふわぁ～と口の中で滑らかに溶けていく感じが最高～！パンも甘味がある～っ」

　めちゃくちゃ満足だ。

　パンも牧場で作ってるらしい。そりゃ美味しいよね。

　亮君も食べだした。

『アムッ』

「確かにいつものバターとは全く違って美味しいな」

「もう、りょう君もっと感動してよ～っ」

『あ、でも口角が少し上がってるっ！　レアな表情ゲット！』

「だってそんな感想しか浮かばないし」

『アムッ』

「塩たしたほうはより甘さが際立つ感じで、軽い感じから少し味がしまった感じになって美味しい」

「そうだな、こっちのがバターぽいな」

　すぐに完食した。

　次はクラッカーに塗って食べてみる。

『サクッ』

「こっちで食べたら、チーズみたいな感じでクラッカーの食感と塩味が際立つ～っ」

「確かに、ヨーグルトとチーズの間みたいな感じで美味しいな」

「「ごちそうさまでしたっ！」」

『美味しいけど口の中の水分奪われたっ』

「さあ、最後はソフトクリームだねっ！」

『ソフトクリームで口の中すっきりしよう』

　フレッシュバターは家でも生クリームで作れるとかを話ながら移動する。

「ガリバタチキンとか、明太子パスタとか美味しそうだよね～」

『レシピを見ただけで作ったことないんだけどね』

「そうだな、美味しいだろうな」

『え、亮君食べたことあるんだっ』

「りょう君見えたよ。ソフトクリームの旗たってる」

わたしは我慢できず走る。

「ちょっ、急がなくても食べれるって」

「はやくぅ～、はやくぅ～」

　亮君もわたしにつられて走る。

　さっとソフトクリームを頼んで、亮君の分も先に受け取る。

「はい、こっちがりょう君のね、真っ白で綺麗だね」

「ありがとう」

「じゃあ～、一緒に～」

「「いただきますっ！」」

　亮君が珍しく一緒に食べてる。

『ペロッ』

「う～ん、冷たくて舌触りが滑らかで甘みもやらしくなくて爽快な感じで美味しいっ！」

「うんうん、これは美味しいな」

『ペロッペロッ』

　わたしは美味しくて食べるのが加速する。あっという間にコーンより上がなくなった。

「ここからどうやって食べようかな～。今日はクリームが主役だしなあ」

「決まった！」

　わたしはコーンをまるごと咥えて、チューチュー吸った。

『やっぱり美味しい』

「それはダメなやつだろ」

「へ、なんれぇ？　しゃきにふひ～ふすひだすんだひょ～」

「ほら、見てみて！　綺麗にコーンだけ残ったよ」

　わたしは自慢げにコーンのなかを見せた。

「うわっ！」

　なんか亮君があせっている。

　亮君は手にソフトクリームが垂れて持ち手を変えた。

『あ、もったいない！』

『ペロッペロッ』

「ほぅゎあぁ」

　なんか亮君から変な声が聞こえた。

「なにしてるんだよっ」

「だっへ、もったいないれしょ？」

「指の間まで舐めるなっ」

『あ、もしかして照れてる？』

「変なやらしい声出てたよね」

　わたしは見逃さなかった。

「やり返すなよ。ほら、残りあげるよ」

「ほんとに？　ありがとう、りょう君！」

　わたしは残ったコーンにソフトクリームをつけながら食べた。

「おれは手を洗ってくるわ」

『なんか亮君怒らせたかな？た、たぶん大丈夫だよね？』

　亮君が戻ってきた。特に怒ってもなさそうだった。

『良かったぁ～』

「美味しかったね～」

「「ごちそうさまでしたっ！」」