第16話小学三年生、正統派黒髪美少女対金髪碧眼美少女の乱!
三年生になったよ!
二年生の時はそこまで波乱なことはなかった。
夏の球技大会ゲートボールの変(グランドゴルフはまだ早かった)、運動会男子はほぼ敵(俺対天宮を狙う男子、俺の全勝利)、工場見学ハーレムの件(俺の周囲を女子に固められた)、古き良き不良更生で感謝状(いらねぇ!)、クリスマスケーキ自作の件(二年生に三段重ねを作らせるな)などだ。
教育委員会?友人を通して古くなった学校の備品を一新したら仲良くなったよ!校長先生も大喜びさ!
三年生になったら、登下校に一年生の女の子が入ってきた。篠崎璃子ちゃん、元気溌剌のいい子だ。
天宮と俺で手を繋いで登校したら。パパとママみたいと言われた。可愛いなぁ、あれ天宮の顔が真っ赤だぞ大丈夫か。
そうやって面白おかしく過ごしていたら、転校生がやって来た。
「ソフィア=モラレス、デス。ヨロシクオネガイシマス」
金髪碧眼の美少女が教壇の上で挨拶をしていた。
冬に助けた女の子だ。
あっれー?未来の私の記憶では男子が転校していった記憶はあるが、金髪碧眼の美少女が転校してきたのは記憶にないぞ。
「ソフィアさんはお父さんの都合でアメリカから日本に引っ越してきました。まだ日本語は慣れていませんが、みんな仲良くしてね」
「「「はーい」」」
女子は元気よく答える。俺の調きょゲフンゲフン教育のたまものだ。
男子は金髪碧眼の美少女の登場にお熱を上げていらしゃっる。若いなぁ・・・。
「特に貴光君は英語が話せるからソフィアさんの補佐をしてもらってもいいかな?」
「え、ああ別に構いませんよ。モラレスさんも聞ける相手がいたほうがいいでしょうし」
俺が未来記憶を確認していると香山先生が指名してきた。
まあ、小学生で英語が話せるのはそうはいないだろう。
ついでに今はドイツ語を学習中だ。だって中二病みたいな言葉ばかりで男の心をくすぐるだろ?
『ようやく見つけたわっ!』
挨拶しようとしたら、ソフィアさんに指を差された。
ソフィアさんは香山先生が制止する前に俺の前にやって来る。
『不思議な恰好の男の子!美人さんも会うまでお楽しみと言って名前を教えてくれなかったの。名前を教えて!』
俺の手を取り弾丸のような速さで話すソフィアさん。
おおう、日本人にはない積極性だ。中身がおっさんでも少し引くぞ。
不思議な恰好?ああ、あの時は現代風の羽織を着ていたからな。日本でも珍しいからな、外人さんには不思議に見えるだろう。
美人さん?友人のことかな?外見だけは美女だもんなあいつ。
『久下貴光です。そちらの言い方では貴光=久下ですか』
『タカミツクゲ・・・ならタカって呼ぶね!』
距離を詰めてくるのが早い早い、助けたときは大人しい子だったのに目の前の子のテンションはいったい何なのだろう。
『それでいいですよ。モラレスさんは・・・』
『ソフィ』
『はい?』
『ソフィって呼んで』
『ソフィはどうしてこの学校に?』
悪いが何もないド田舎の小学校だ。基地内にある学校の方がいいだろう。
『タカに会いたくてパパに頼んで転校してもらったの。美人さんが学校のことは教えてくれたわ』
友人め・・・あれほど誰にも俺の情報は流すなと言ったのに。次会ったらタイキックを打ち込んでやる。
そうか俺に会いに来たか。
英語話せるし、家庭の事情も聞いちゃったもんな。基地の学校ではハブられてたみたいだし、話し相手が欲しかったのだろう。パパさんも心配してたみたいだから、袖振り合うも他生の縁だ。
日本に慣れるまでは助けてあげよう。
『なんとなくわかりました。ではソフィこれからよろ・・・』
「たか君、その子誰?」
挨拶しようしたら後方から無感動な声をかけられた。
振り向くと何故か俺の後ろに立っている天宮。その顔には表情というものが一つもなかった。
なぜだろう、今の俺は凄くヤバい綱渡りをしているような感じだ。
「あ、ああ冬の間に友人のところに行こうとしたら困っている女の子がいまして、助けた女の子がこちらのソフィです」
「ソフィ?」
天宮の眉がピクリと上がる。
「ソフィアさんだけどソフィと呼んでほしいと」
「みやこ」
「え?」
「わたしもみやこと呼んでくれるのなら許します」
どうして天宮の許可がいるのだろうか。
『その子は誰?』
ほっとかれたソフィが聞いてくる。こちらは天宮、みやこに対して敵意がむき出しだ。
『京=天宮、クラスメイトでよく一緒にいる友達です』
『ふーん、一緒にね』
ソフィがみやこの前に立つ。
なぜだろう二人の背後に竜と虎が見える。
『ソフィよ』
「京です」
二人は握手を交わした。
「絶対に負けない」
『叩きのめしてあげるわ』
お互い言葉がわからないはずなのに通じている。
「なにがどうなったのーっ!」
香山先生の叫びが聞こえるが、それは俺が聞きたいです。
ーーーーーーー
さあ、主人公を放置してヒロインが対決だ!
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