第13話

 断りもなく人の漫画を読んで、人の菓子を食べる。その上自分の部屋みたいに寛いで。この者は、一体何者なのだ。神の使いのように、神聖で恐れるべき相手ではないのか。

 晶は、兄弟か幼なじみのような振る舞いをする小鬼に戸惑い、計りかねていた。

 

「あの、すいませんが、少し話せますか?」

 晶は昨日小鬼が言っていた事を思い出し、ちゃんと自分たちの関係を知りたいと思った。

「なんじゃ、饅頭なら返るから心配ないよ」

「そうじゃないんです、昨日言ってた条件の事なんです」

「――条件。はて、なんのことだったかな」

「小鬼さんが生まれたという、条件です」

 そう言うと、寝そべって漫画を読んでいた小鬼は身を起こして、晶の方に顔を向けた。

 そして改めて説明をする事には。

 まず、音楽(芸術)を心から好きな人間である事。それから自然や生き物に畏怖を持っている事。そして日向ぼっこが好きな事(事情、体質によりできない場合はこの限りではない)。そういう人間の感動。それから、偶然。

 晶は条件を聞くたびに、他人事のようなただの話のような、そんな感じを受けた。自分は、当てはまっているのかなと不思議に思う。最後の”偶然”だけが、なんとなく納得できるようなでもやっぱり意味が分からないような気がするのだった。

 

「あの、それで、これから永遠に一緒に生活するんでしょうか?」

 晶は理解できない原因や意味はさて置き、現実問題に切り込んだ。実際の所、一番気がかりな事だ。


「――永遠ではない。わしがこの世界を満喫したら迎えが来るのじゃ」

「――お迎えというのは、鬼の大群が来るのでしょうか?」

「太陽から送られる光じゃ。正午前の陽光、冬だといいなぁ」

「――そう、なんですね」

 

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