第十二羽 おっさん、依頼を受ける。

「で、お前さんたちはしばらく滞在すんのか」

「うん?準備ができたら旅に出ようと思ってる。何かあるのか?」

「あー、そのな。ベリルとの連携を見込んでちょいと頼みたいことがある」

「依頼か。だが俺はしがないランクC冒険者だぞ?」

「まあそこは相性の問題だな。まあ聞くだけ聞いてくれ。本当に無理なら断って構わない」

「…わかった」


指名依頼なんてランクAからだと思ったけどねえ。パーティランクならBからでもあるけれども。

冒険者ランクは上からSABCDEF、Sは特別な強さ、A安定の強さ、Bやり手冒険者、C中堅、Dまあまあの中雛、Eひよっこ、F殻つきのなりたてってとこかしら。

従魔のベリルがいるからと言ってもソロでランクCのあたしじゃまず受けられないはずなのに。というか旅に出て自由気ままにカップル眺めたいあたしとしては指名依頼なんて面倒でしかないわ。

でも実績がなければいずれ冒険者資格剥奪もあり得るから、ある程度仕事はしなくちゃね。渋々うなずくとギルマスに促されて再び応接間のソファに落ち着いたわ。ギルド奥の応接間なんて縁がないものと思ってたのに、こんなにお世話になるとはねー。


「それで、依頼の内容は?」

「ああ、実はな…」




まさかの虫退治だったわ。あたし虫嫌いなんだけど!

でも鶏にはというか鳥魔物のベリルには貴重なタンパク源なのよー。仕方なく依頼は受けたの。

まず依頼書に目を通したけど、村に厄介な虫魔物が出て収穫物が被害にあってるので何とかして欲しいってことみたいね。その収穫物ってのがなんと領主に献上更に出来が良いと王族に献上する果物なんですって。依頼達成すれば多少の金銭に果物を報酬として貰えるの。果物はあたしも好物だしいいかも。

村はこの街より南にある山の上にあるみたい。高山植物の採取もついでに受けといたわ。ソロになったし効率よく稼いで行かないとね。


山登るならいろいろ準備しないとって買い出しなんかしてたらあっという間に日没よ。で今日はもう街で一泊して明日早朝から出発することにしたわ。焦って無茶してもいい結果は出せないからね!


初めてペット…従魔連れで泊まるのでそういう宿を探したんだけど、厩舎に寝かせるのが基本なんだけど部屋を汚さない小さな従魔なら部屋にいれていいらしいわ。鶏ってトイレの躾出来ないって聞いたけど。

「トイレ…ここでしてほしいんだけど、うん、そう。ベリルたん賢いわね~」

「ピ、ピピピョ」

言葉が通じるって助かるワー。汚水処理スライムが埋まってるトイレを見せたらこう首をつき出して頷いて、使ってくれたのよ。


うちのが賢くて可愛いわ!

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