第十一羽 おっさん、従魔登録する。
警備兵さんと斧の男とは、お互いの働きを称えあって別れたわ。貴族男性はもちろんお姫様抱っこね!疲れが出たんでしょうね、まだ眠ってる様子だったわ。無意識に抱えてる男にすり寄ってたけどね!きゃあ良いわ~!
「じゃあ俺も」
これから宿を見つけて、と思ったらギルマスに引き留められたの。
「いやいや、お前さんはもうちょい待ち」
「何か?」
「隣街のギルドから連絡が来てな。パーティ抜けたんだろ、そこら辺をな」
「あー」
忘れてたわ。
かくりと気の抜けたギルマスに促されてもう一度ソファに座る。
「それとその、鳥形の魔物のこともだ」
「…ああ、そうだった」
頭に乗ってたのに忘れるとこだったわ。鳥って大体そうだけど見た目以上に軽いのよねこの子。
「ピィ!」
広げた羽で額をバサバサ叩かないで!痛くないけど。
「悪かったって」
ふんわりした体を頭から膝に下ろすと平たくなって目を細めてるわ。苦しゅうない、って言ってそう。
「あー、パーティの事はどうなんだ?このあとはソロかまたどこかに加入するか」
はっきり言ってあたしの年だとこれから入るっていうと周りは若いのばっかりになっちゃうからお互いにやりにくいとこが出てくるからねえ。やっぱり予定通りに。
「ソロでいく。こいつも拾ったしな」
「ピ」
「そうか。まあギルド員から報告も来てる。なかなかいいコンビのようだ」
戦闘には結果あの斧の男しか入らなかったが避難の援護には複数来ていたらしいわね。そこから報告があったんでしょう。
「ああ、いい相棒だ」
「ピピ」
「じゃ、従魔登録か」
「ああ、頼む」
ギルマスが外へ声をかけるとさっきのお兄さんが石板と書類をもってやって来たわ。
書類はパーティ変更に関するもの。石板は所謂オーバーテクノロジーあるいはロストテクノロジーってやつ、かしら。歴史がどうなってるのかなんて詳しく知らないけれどそういう得体の知れない技術でできたものよ。
でもわかんなくたって利用できるもんは便利に使うわよね。
冒険者ギルドは、いえ国のあらゆる機関でも、こういった遺跡から出たアイテムを使ってヒトを管理しているの。つまりこの石板でステータスやレベルを登録したり確認したりしてるのよ。ついでに銀行のような口座の管理もね。
「よし、あとはその魔物を登録…名前は?」
「そうだな…」
チャボのまんまはまずいかしら?ちらっと目を見ると不満そうな半眼よ。器用ね。えーっと、鶏で茶色で、うーん、バンバンジー、ダメよね、よだれどrはいダメ、えーっとえーっと、うん?この子目はきれいな緑だわ。濃い黄緑色か。
「ベリルで」
「ふん、瞳の色か」
「ピヨッ」
鮮やかな黄緑の宝石、クリソベリル…だと長いから後半をとってベリルよ。
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