第二羽 おっさん、思い出す。

俺、三十路。冒険者ランクCの魔力もスキルも並の平均よりちょっと高い身長とちょっと強面だけど不細工ではない平凡な一般人。

ついさっきパーティ追放されたばっかりのおっさんだ。

とりあえず拠点としていた街にしれっと帰る度胸はないから隣町に行ってみようとしてたところ。冒険者ギルドは大抵の街にあるし連携ができているから問題ない…んだが。

チーレムだのファンタジーだのと、oh。


あたしなんでこんなとこにいるのおおおおお!?

いやっ、確かに転生できるって聞いたわ。

なんか勤め先の工場で事故に遭ったのよ。

そんで神様?に…そう、希望は一応聞くけどって言われて生粋のおっさん受け好きな腐女子だった私はおっさん受けが見たい!って言ったような…。

普通の輪廻転生だから、希望がそのまま通るなんて思ってなかったし異世界転生なんて冗談でこれは妄想が見せる夢かとも思ったけども。

こんな中途半端に叶うとは…。


あたしはモブとしてラブいちゃカップルを傍観したいのであって、自らがおっさんとなって恋愛をしたいんと違うのよおおおおお!

あえて言うならむしろ壁になりたかったッッッ!

ヤられたくもなければヤりたくもない…ちょっと遠目からもだもだするカップルを眺めてhshsするくらいが丁度いいんだってばああああ!


「…………ッ、………………!!」


届けこの心の叫び!とばかり、神様に向けて念を送っておく。

でも、生まれ変わってここにこうして生きていることの感謝も。

だってねえ。死んだままならきっとこれから見れたはずのいちゃラブも見れないはずだもの。まああたし、BLML専門ですけど。

ショタは範疇外なのによく育てたと思うのよ。

パーティ追放はされたけど給料はしっかりもらえるし装備やドロップアイテム奪われたりもしてないし。考えてみたらいい機会よね。

パーティって集団行動なのよ。一人でこっそりhshsできないじゃない。

その辺のモンスターくらい一人でも倒せる技量はあるし、気ままに旅に出るのも良いかも。ファンタジーも大好きだったんだもの。せっかくの機会を無駄にすることはないわ。

それに、いつかどこかで素敵な出会いがあるかもしれないわよねっ。


元成人腐女子三十路のおっさん、理想の男性もとい理想のカップルに出会うことを夢として、これから異世界を満喫しちゃおうと思います!




本人は気づいていないが不細工ではないというかむしろちょっとイケメン寄りの転生者となった彼はこうして新しいスタートを切ったのである。


そこ、腐女子が腐男子になっただけじゃんとか言わない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る