17,今夜、海へ行こう
僕がその気になれば死ぬなんて簡単だ。ニート否定派の親共はメシなぞ用意しちゃくれない。要はこのままベッドで寝転んでいればいずれ死ぬ。
非行に走り死刑になるでもなく、電車に轢かれるでもなく、自然に命の灯火を消す。誰にも看取られずに然り気無くあの世へ旅立つ。
ニートであることに誇りを持ち、それを身が果てるまで貫き通した。こんなにも輝かしい実績を上げられるのは世界中のニートを探してもごく一握りだろう。
強制送還され、親共に罵倒されてから8時間。あと2時間もすれば夜が明けて、コミケ当日の朝が来る。だが僕には関係ない。
少々腹が減ってきた。死に近付いたサインだ。
そうだ、本当に限界を感じたら海へ行こう。沖にはサメが生息している。サメに喰われてしまえば、誰にも見つからずに姿を消せる。なんてニートらしい最期だ。
やがて陽は昇り、何もせぬうちに沈んだ。飲まず食わずで過ごした24時間。冬は太陽が低い位置を通過するから、カーテンを閉めきった部屋でも昼間はそこそこ明るい。今まで春夏秋冬画面ばかり見ていたから、こんなことに初めて気付いた。
断食3日目。大晦日を迎えると吐き気と目眩で思考力が鈍ってきた。ちょうど良い、今夜あたり、海へ行こう。
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