4,職質と雪姫たん!

「男、幼女、男、幼女、男、男、幼女、幼女、男、幼女、男、幼女、男の男、幼女♪ あっ、職員と思しきBBAグヘッ!」


 腹を満たした僕は、ちょうど下校時間になったので、雪姫たんが通う小学校の前で校門から出る生徒を区別しながら出待ちをしている。 男の娘を除き、野郎は赤ん坊だろうがジジィだろうが同じだが、女子おなごは赤ちゃん、幼女、JC、JK、JD、レディー、BBA《ババア》でカテゴライズする。僕の射程範囲は幼女からレディーまでだが、紳士のたしなみとしてレディーとBBAの境界線は伏せておこう。


「ちょっと、職務質問してもいいですか」


 雪姫たんを驚かそうと隠しきれない身体を電柱に隠して校門を覗いていると、背後からマッポーに肩を叩かれた。


「僕は職になど縛られない自由の身さ!」


 どうやら昨夜僕をしょっ引いた輩とは違うようだ。ならコイツは僕のことなど知らないであろう。


「ああ、もしかしてニート? 見るからにそうだよね。じゃあ住所は?」


東海岸北ひがしかいがんきた八の零の一億番だ」


「北は五丁目までしかないけど?」


「フッ、キサマに教える義理などない」


 僕はリアルとは隔絶された存在。この世界の僕の住所などまるで意味がない。


「なら署までご同行願おうか。近所の人から小学校の前に怪しい男がいるって通報があったんだよ」


 マッポーが僕の腕を引っ張り連行しようとする。コイツ、普通体型のクセに腕力強いぞ。


「待て待て! 僕は近所の子を迎えに来たんだ!」


「その子の名前は?」


「御伽野雪姫たん」


「そんな漫画みたいな名前あるか!」


 マッポーは僕を引っ張りとうとう歩き出した。


「おい! 雪姫たんに失礼だぞ!」


「いいから来なさい!」


「綺羅星くーん!」


 はわっ! この天使のようなロリロリヴォイスは!


「雪姫たん!」


 雪姫たんは連行される僕にキラキラオーラのとびきりの笑顔で駆け寄って来た。一緒にいる雪姫たんの学友二人は不審な目でこちらを見ている。警察官は立ち止まり、雪姫たんの方へ振り返った。


「ほら見ろ! この天使のようなプリティーでキュアキュアな子が雪姫たんだ!」


「チッ、せっかく久しぶりに検挙できると思ったのに……」


「わーははははー!! ざまぁみろべろべろばー!!」


「ふざけやがってこのクソが。ただでさえうぜぇツラが余計うぜぇ」


 吐き捨て警察官は撤退して行った。


 はーっはっはー! 僕は今日も完全勝利だ!

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