第四の巻

「僕に零戦士の才能が…」


予想もしないかった一言に困惑し、発せられた言葉を繰り返すことしかできなかった。


「詳しいことは別のところで話そう」


「僕についてきてくれるかな」


そう御坂が立ち上がると、つられて霊堂も重い足を動かし、後を追った。



しばらく歩いていると霊堂の身長よりも大きな扉に差し掛かった。


驚いているも束の間。大きな扉がひとりでに開き、その全貌が露わになった。


数多くの人が入り乱れ、大きなモニターには一眼見ただけでは分からないような数字群が並んでいる。


「ここは…」


目の前の景色を見て、御坂に尋ねた。


「ここは八咫烏の中枢。指揮室だよ」


めまぐるしく光る部屋の中に人影が見えた。



「君に合わせたい人がいるんだ」


そう霊堂に告げた後、御坂は半ば強引に人影の前に連れて行った。


「この人が八咫烏のリーダーであり、最高司令官だ。」


「この人は本名を他人に教えたくない体質みたいでね。この人のことは"お役目様"と呼んであげてくれ」


そう御坂が伝えると、お役目様は口を開いた。



「御坂を通して伝えたと思うが、君には霊戦士の才がある。」


霊堂は聞き返した。


「僕は霊感が強い訳でもないし、幽霊も見たことがない。」


「でも何故、霊戦士の才能があるんですか?」


「話すのが遅れたな。」


「君の"目"には類い稀なる才が宿っているのだ」


霊堂は自身の目に触れながら話を聞く。


「君が持ち得るその目は"呪目"と我々は呼んでいる。」


「一般の人間や霊戦士でさえも見ることのできないさらに深い念を見通すことができる。」


「その目は貴重な力だ。是非、我々八咫烏の一員として戦ってもらいたいのだ。」


突然告げられた自らの才能に、ただ沈黙でしか答えることはできなかった。



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霊戦記 やまぶき @deruta2121

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