第三の巻
俊介は目覚めた。
猫蝕トンネルでの事件から生還した俊介はあの後、突然姿を現した3人によって身柄を保護された。
「アイツら死んだんだよな…」
猫蝕トンネルに一緒に出かけた友人らは、御門様の手によって殺された。
トンネル内で起こったことが多かったせいか、友達が死んだという現実が今になって深く心に現れ始めた。
そんなことを思っていた時、俊介の隣からかすかに聞き覚えのある男性の声が聞こえた。
「やっと目覚めたね。生きててよかったよ」
俊介は思い出した。
あの時、命を助けてくれた3人のうちの一人だった。
「自己紹介がまだだったね。」
「僕の名前は"御坂神楽"。」
彼は御坂神楽(みさか こぐれ)と名乗った。
「僕は対攻撃的霊象戦闘士者、略して"霊戦士"の重要管理官としてこの機関に身を置いてる。」
俊介は知らない世界の単語が続々と耳に流れていき、咄嗟に聞き返した。
「その…霊戦士ってなんなんですか?」
そう聞いた途端、御坂は説明を始めた。
「人々の恐怖の対象である霊。奴らは本来、人を驚かせる為にこの世に存在している。」
「だが、中には人に攻撃的な行動を起こす存在、いわゆる悪霊が存在している。」
「常人では見ることすらできない奴らの対象、時には抹殺を行なっているのが、霊戦士。」
「そして、霊討伐を古来より国から任されている機関こそが"八咫烏"なんだ」
俊介は八咫烏という言葉を知っていた。
日本に古くから存在する秘密結社"八咫烏" 。
そんなものは都市伝説だと思っていたのだ。
「八咫烏って存在してたんだ…」
俊介は小さな声で呟いた。
「君には伝えておこうと思っていてね。少し長くなるだろうけど聞いてくれ。」
御坂は俊介が眠っている間に起こったことを説明した。
俊介の友達はトンネル内で無差別殺人犯により殺害されたことになったこと。
そして、俊介もその事件に巻き込まれ、死んだことになっていること。
そしてもう、普通の生活には戻れないこと。
「ここからいうことが一番重要だ。」
御坂は先程よりももっと真剣な面持ちでこういった。
「君には霊戦士の才能があるんだ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます