第8話 アニメ声って

自宅に帰った僕はベッドへダイブした。



図書館で人に勉強を教えるのは案外疲れた。



君島さんが僕の成績を知っていてくれたのは嬉しいけど。

これがきっかけで話が出来るとは、世の中何があるかわからない。



マジで勉強しててよかった……



「なんだか夢のような時間だったな」



君島さんと小島さん。


声の質は違うけど。



どっちも特徴的で素敵な声をしていた。



今日は、スマホに取った音声変換でなんて言われたいか考えよう。



僕はイヤホンを付けて今日の取れた声を聞いてみる。




??


????


「なんで!!!」



イヤホンから聞こえてくる声のほとんどは、小島さんの声ばかり、たまに本当にたまに小さな声で君島さんの声も聞こえるけど1分なんてとても取れていない。



むしろ、ギュッとまとめても5分ほどの小島さんの声ばかり……



マジでないわ~


……



………



…………ゴクリ



「でも、もしも小島さんのアニメ声で言ってもらえるとしたら……どんな言葉が言われたいかな?」



これはほんの出来心だけど……



「僕のアニメ声の可愛い子から言われたい言葉第一は……【お兄のバカ】だ!!!」




どうだ!理解できないだろう!だが、それでいい。



僕は僕の道を進むんだ。



イヤホンを耳に着けて暗闇の中で【お兄のバカ】が頭の中へ響く。



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次の日も、昨日と同じように図書館に集まった三人は勉強を開始する。



君島さんは数学が苦手で数字を見るのが苦手な様子だ。


小島さんは意外にも数学が得意で、国語が苦手だった。


文章を読むことが得意ではないようで、度々漢字を間違えたり、文章の文法を理解するのが遅い。



「いいですか小島さん?ここは兄でタクヤの心情を理解しないと読み解けないんです」


「ハァ~なんで態々兄貴の心情なんて理解しないといけないわけ?兄貴なんていつも【お兄のバカ】って耳元で言っとけば言うこと聞くじゃん」



いきなり近づいて発せられた言葉に素筋がゾクッとなる。



「これ一発で言うこと聞くんだけど」


「はは、それは小島さんのお家だけで、国語の中では意味ないですよ」


「ふ~ん。ねぇテル【お兄のバカ】って言われて動揺したの?」



もう一度耳元で発せられた言葉は先ほどよりも妖艶な雰囲気を醸し出してるような気がして身を引いてしまう。



「あははは、反応面白!」


「もう、ユウ。テル君をからかわないの」



君島さんの優しい声が聞こえてきて、やっぱりいいな~と思うけど。


アニメ声ってヤバい……お兄さんが羨ましい。

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