第4話 彼女は意外にお茶目さん?

僕は子犬を拾った日にどうやら風邪を引いてしまったようだ。


次の日は熱が出て一日寝込んでしまった。


休日を挟んでいたので、学校を休まなくても良かったのだが、子犬は僕を心配して一緒にベッドで眠っていた。

子犬の名前は豪雨の日に拾ったので、ゴウと名付けた。



「ゴウ、ありがとう。お前は暖かいな」



まだ小さいながらも僕を飼い主として認めてくれているのか、頭を撫でると「クゥ~」と鳴いてすり寄ってくる。


布団の中に招き入れて体温を感じる。


熱が高くなって、意識が朦朧とする。



「お邪魔します」



誰かが部屋へ入ってきた。


母さんは休日でも仕事に行っているから姉さんかな?


僕には二つ上の姉がいる。



「あっやっぱり風邪引いてたんだね」



どこか心地よくて聞き慣れた声が耳に響いてくる。


この声をいつまでも聞いていたい。



「意識ないのかな?う~ん、【テル君、私見ちゃった。凄く優しいんだね】はは、起きてたら恥ずかしくて言えないけど。寝てるならいいかな?君が犬を助けるのを見ていい人なんだなって思ったよ。今日はビショビショで犬を助けた君へお見舞い」



冷たい何かが額に乗せられる。


気持ちいい。


優しい声が耳に響いて幸せだ。



「ありがとう。凄く君の声が好きだよ」


「えっ?起きてる?」


「ん~」



冷たい何かがが離れて、また身体が熱くて意識が朦朧とする。



「起きてないよね?私の声が好き?そっか~ふふふ。ねぇテル君。私も君の優しいところ好きだよ。君は覚えていないだろうけど。一度君は私を助けてくれてるんだよ」



意識はもうろうとしているのに、僕は夢を見た。



それは幸せな夢で、大好きな君島さんが僕の耳元で嬉しい言葉を囁いてくれる夢。



あ~きっとアプリを切り忘れたんだだろうな。



こんな変換をした覚えはないけれど。



君島さんに好きって言ってもらえたような幸せな夢。



「週明けは元気に登校してきてね」



また冷たい何かが額に置かれ、すっと苦しさが和らいでいく。



僕はそのまま深い眠りに落ちた。

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