第8話 天翔ける街

ランドスター【とまぁ、最近はそんな感じです】

バニラアイス【ランドスターさんと今度またお話しさせていただきたいかもしれません】

サクラ【直球なお誘いですね】

田中太郎【ヒューヒュー】

バニラアイス【そういうのではないです】

ランドスター【それは残念】

ミナミモト【!?】


 ———ワーミーさんが入室しました


ミナミモト【あ、ばんわ】

バニラアイス【こんばんは】

彩路【やぁ】

key【ワーミーさんこんにちは】

ワーミー【どうも】

ワーミー【もう結構人がいるんですね】

グロイ【賑やかになってきたね】

ブルーベリー【そうですね】

ミナミモト【楽しくていいじゃないっすか】

ミナミモト【こっちとしても大助かりっす】

ミナミモト【じゃあ次はkeyさんの番ですね】

key【そうですね】

key【皆さん、以前東京の池袋で騒がれていた《竜》はご存じですか?】

ミナミモト【ご存じも何も、世界中が大騒ぎしてたじゃないですか】

ブルーベリー【田舎に住んでる私のところにも伝わってました】

グロイ【あぁ、あったねそういうことも】

彩路【グロイ君はすごく超然としてるね】

グロイ【まぁ、満更知らないわけでもないというか】

彩路【ほう】

田中太郎【確か《竜の涙》でしたっけ。売ると百億円の価値があるっていう《竜》の目から零れ落ちる宝石】

key【そう、それを目当てに池袋の街に人が殺到して一時期はすごいことになってて】

key【雑誌なんかにも度々取り上げられてたと思います】

key【私は生まれも育ちもずっと池袋だったもので、当時の池袋で起きてたこともある程度把握しているんですが】

key【ちょっと前に、《竜の涙》が池袋の街で見つかったってニュースがあったと思うんですが】

ミナミモト【ありましたね。確か、最終的には役所を通じて国が回収したんですよね】

サクラ【宝石は今、参拝するとご利益があるパワーストーンみたいな感じで街の観光業に活かされてるんでしたか】

key【はい、その通りです】

key【私は《竜の涙》が街で見つかったあの日、一連の騒動に部分的に関わっていて。《竜の涙》を少しだけ手にしていた時もあったんです】

田中太郎【百億円を!?】

バニラアイス【一攫千金ですか】

key【いえ、私自身は特にお金に興味はなくて】

key【お話ししようと思ったのは、あの石にあった不思議な力のことで】

ミナミモト【マジモンのパワーストーンだったんすか?】

サクラ【確か一部のマイナー雑誌にそんな記事もあったと思いますが、正直ガセかと】

key【信じられないのも無理はないと思いますが、あの石の力は本物です】

key【手にした人の願望や本能を叶える、とでもいいましょうか】

key【あの石を手にした人を他にも数人知っていますが、皆一様に彼らの性格や感情を発露させたような超能力が目覚めていました】

key【まぁ、石を手放した今は私含めそんな力はもう持っていないんですが】

ミナミモト【はえー、俺も超能力使ってみたいかも】

グロイ【それも興味深いが、肝心の《竜》については?何か分かったのかい?】

key【あれは、池袋の土地の守り神だそうです】

key【街に住む人たちの信仰が失われたことで姿が人に見えるようになってしまったと、石を手にした私に教えてくれました】

ブルーベリー【土地の守り神というと、私がした話に出てきた彼と似たようなものなんでしょうか】

サクラ【かもしれないですね】

key【とまぁ《竜》の正体が分かったことで、あの日池袋で起こった《竜の目》争奪戦は私と石を手にした者たちが役所に石を預けたことで終わらせました】

彩路【無欲なものだね。その気になれば億万長者になることもできたんだろう?】

key【かもしれませんが、お金以上に大事なものが私にはありましたので】

バニラアイス【大事なもの?】


***

***

***

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る