第7話 二人の囚人

ミナミモト【そうなんすね。よかったじゃないですか。新しい居場所が見つかって】

ブルーベリー【えぇ、本当に】

バニラアイス【たまに面倒なときもありますけど】


 ———keyさんが入室しました


ミナミモト【あ、ばんわーっす】

田中太郎【ばんわー】

ランドスター【こんにちは】

key【こんにちは】

彩路【結構な人数になってきたね】

グロイ【ここは最大何人まで入れる部屋なんだ?】

サクラ【確か三十人だったかと】

バニラアイス【それはいくら時間があっても足りませんね】

ミナミモト【いや、来てくれるだけで嬉しいっす】

田中太郎【というかミナミモトさん、どうしてこんな部屋立てたんです?】

ミナミモト【あー】

ミナミモト【まぁ俺の話は一番最後ってことで】

田中太郎【引っ張りますね】

グロイ【一番面白い話を持ってるんだろう】

サクラ【それは楽しみです】

ミナミモト【うわ、余計なこと言うんじゃなかった】

ミナミモト【まぁそれよりも次は、ランドスターさんの番っすよね】

ランドスター【僕の番ですか】

ランドスター【僕の話は、先程お話されてたバニラアイスさんと少し似てるんですけど】

ランドスター【同級生と中身が入れ替わった話です】

ミナミモト【仲良く階段から落ちちゃったとか?】

田中太郎【それ確か映画だったような】

サクラ【伝わらない世代の方が多そう】

バニラアイス【『KANON』みたいな装置を使わずですか?】

ランドスター【はい】

ランドスター【どういうわけか、互いの右手を合わせると中身が入れ替わって、左手で触れると元に戻るっていう体質?だったみたいで】

グロイ【そんな人間がいるとは俺も聞いたことがないね】

彩路【いやはや、この時代にも未知の現象というのは未だにあるものなんだね】

ランドスター【ただ入れ替われるってだけなら良かったんですけど】

ランドスター【その同級生、身体が入れ替わってるときに死んじゃったんです。事故に遭って】

ミナミモト【んっと、つまり】

ブルーベリー【元々のランドスターさんの身体に入っていた同級生さんが、ランドスターさんの身体ごと死んじゃったってことですか?】

ランドスター【そういうことです】

田中太郎【じゃあランドスターさん、今はその同級生の身体のまま生きてるんです?】

ランドスター【えぇ。もう何年も】

ミナミモト【ひぇー】

サクラ【それは、確かに奇妙というか数奇というか】

サクラ【他人の人生を代行することになったような感じでしょうか】

ランドスター【そうですね。周りの人は自分のことをその同級生だとしか認識していませんし】

ランドスター【しかもそいつがとんでもない秀才だったもので、学のない自分が成り代わるにはあまりにもハードルが高すぎて】

ランドスター【一時期かなりまいってて、部屋からろくに出ない時期もありましたね】

ミナミモト【じゃあ、今は?】

ランドスター【今は、社会人になってまぁそれなりに元気にやってますよ】

バニラアイス【どうやって立ち直ったんですか?】

ランドスター【その同級生に妹がいて】

ランドスター【その子に教えてもらったんです】

ランドスター【身体が変わっても、自分は自分の思うように生きていいんだって】


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