第3話 夢と葉桜

ブルーベリー【とまぁ、私の話はこんなところです】

ミナミモト【いや、めっちゃいい話じゃないっすか。ちょっと泣きそう】

サクラ【はい、私もインスピレーションが刺激されました。ありがとうございます】

田中太郎【ん?インスピレーション?】


 ———彩路さんが入室しました


ミナミモト【ばんわー】

ブルーベリー【こんにちは】

サクラ【ようこそ】

彩路【Hello there.】

田中太郎【もしかして外国の方ですかね?】

ミナミモト【英語できる人挙手!】

彩路【あぁすまない、つい普段の癖で】

彩路【日本語で大丈夫だよ】

ミナミモト【よかったよかった】

彩路【不思議な体験をした人募集って書いてあったけど?】

田中太郎【そうですそうです、結構面白い話聞けてますよ】

彩路【それは楽しみだ】

彩路【少しログを辿ろうかな】

ミナミモト【ごゆっくりー】

ミナミモト【んじゃ次はサクラさんの話聞きたいかな】

サクラ【あ、実は私はこれといって不思議な体験をしたことがなくって】

サクラ【誘い文句に興味があったのでつい好奇心で覗いちゃっただけで】

田中太郎【あらあら】

ミナミモト【とか言って、なんだかんだあるんでしょう?笑】

サクラ【うーん】

サクラ【他愛もない昔話でよければ】

サクラ【不思議でもなんでもない話ですけど】

ブルーベリー【お聞きしたいです】

ミナミモト【wkwk】

サクラ【少し前まで、東京で出版系の業界に勤めていたんです】

サクラ【というかまぁ、ぶっちゃけると作家をやってたんですけど】

田中太郎【それってつまり小説家とかライター的な?】

サクラ【名前は伏せますが、小説家として名前はそこそこ売れてたかな】

ミナミモト【サクラ先生、とお呼びしていいでしょうか】

ブルーベリー【すごいです】

田中太郎【インスピレーションってそういう】

サクラ【いやいや、それも以前の話ですよ】

ミナミモト【以前までってことは、今はもう引退されたんですか?】

サクラ【うーん、引退、と言っていいのか】

サクラ【少し長めの充電期間といいますか】

サクラ【今地元に帰省中でして】

ブルーベリー【小説書くの、嫌いになっちゃったんですか?】

サクラ【そういうわけでは】

サクラ【いや、】

サクラ【そういうことになっちゃうんですかね】

サクラ【こういう仕事してると、どうしてもネガティブな意見というか、自分の書いた作品を受け入れてくれない人も出てくるわけで】

田中太郎【アンチ的な】

サクラ【有り体にはそういう表現になっちゃいますかね】

サクラ【そういうのが積み重なると結構心に来るものもあって】

サクラ【気が立ってたのもあって、ちょっとしたトラブルを起こしてしまったんです。いろんなところに迷惑をかけて】

ミナミモト【深くは聞かないようにしましょう】

ブルーベリー【はい】

サクラ【それで、もう色々疲れて】

サクラ【故郷で自殺しようとして】

ミナミモト【穏やかじゃないっすね】

田中太郎【突然のシリアス】

サクラ【でもそこで、私の書いた小説を読んでる人と出くわして】

サクラ【その人が子供の頃から、プロの小説家になる前から私の書いた物語を読み続けてくれていた幼馴染だったんです】

サクラ【幼馴染が僕の顔を見て、『まだ、小説は書いてる?』って言ってくれて】

サクラ【その顔を見たら、もう死ぬ気にもなれなくなっちゃいました】

サクラ【めでたしめでたし】

サクラ【いや、つまらない話で恐縮です】

ミナミモト【いや、めっちゃ良い話じゃないですか】

ブルーベリー【後悔することはあっても何度でもやり直せると思いますよ】

田中太郎【そうですね、サクラさんの書く小説読んでみたいです】

田中太郎【あ、名前バレちゃうからダメか】

ミナミモト【充電期間って言ってましたけど、今後また何か書く予定はあるんです?】


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