きらきら

自分が天使だったら、良いのになって思うの。


天使に憧れて、死んだ。

悪魔に絶望し、死んだ。


元々悪魔だった私は、そのことに嘆いて死んだ。

「命を奪う」という使命は私にとっては重すぎたのだ。


悪魔の中でも、命を奪い取る使命を司っていた家系に生を受けた私は、生まれながらにして自分が嫌だった。

周りには、私のような考えの悪魔はいなかった。

「自分が汚れている」という認識を持っている幼い悪魔は、邪険に扱われた。

異端者扱いされていたのだ。

人間界で表現するのであれば、「いじめ」の認識が近いのかもしれない。

…尚更、悪魔が嫌いになった。

「早く自由になりたい」

私の口癖だ。

きっと、天使だったらこのような感情も口癖も、なかったのだろうと思うと悔しい。

天使を見ていると、心が輝く感じがする。

そう、対悪魔では感じられない、この感覚。

私は、天使に憧れている。

きっと、この憧れは一生憧れ続けるだろう。

今日も、黒くグロテスクな空を見上げては、ため息をつく。


天国なら、美しいラッパの音が響き渡り、希望の光に包まれているという。

なんとも逆の世界だ、ここは。

生まれてくる地を間違えた私。

「神様なんて信じても、意味ないね…」

私の声はかすれて消えた。


そして私は悪魔狩りをすることを決めた。

天使を襲う悪魔を狩る仕事をする、それは私の心を穏やかにさせた。

しかし、悪魔が悪魔を狩るということは、真の悪魔になってしまう行為だった。

そう、だから。


天使に憧れを抱いていた頃の記憶が完全に消えてしまった。

もし、赦されるのであれば私のこの物語を後世に語り継いでほしい。

悲しい悪魔が増えないように。






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