第四話 誰も知らない(語り手:ゆう)

すて「どうなってんだよ...ここのセキュリティは万全じゃなかったのか?」

警察に通報して一切を話した後に、皆で食堂に集まって、殺されたであろうあっくんについて情報交換をする。でも、誰かが知らないあっくんの情報は出てこない。皆が知っている情報だけで、この時間は無意味に終わった。

とら「見た感じ、鈍器なんかで強く殴られたんだろうな。小さい石なんかじゃここまでならない。やるなら相当重い岩じゃないと、」

すて「とら!」

とら「...悪い。とりあえず俺が言いたいのは、万が一この中にあつを殺した奴がいたら、隠すのはそう簡単じゃない。あつは星屑グループの御曹司だし、誰かの恨みを買ってた可能性も大きい。俺たちの無実と信用の為にも、館内、周囲を調べてみるべきだと思う。」

すて「じゃあ、エリアを区切って、2人一組で探していこう。それなら見つけてないフリもできない。チーム分けは...」

とら「ゆうすて、しょう俺だろうな。」

すて「エリア分けは、エントランスを基準にしてー」

すごい。どんどん決めてくれる。あの2人は、決めたら行動に移すまでが早い。その間の細かいとこを決める部分に関しても。


4時間ほどかけて探したけど、それらしい物は見つからないという事で、一旦遅めの昼食を取ることにした。警察は何故かまだ来ない。

私達の中で、あっくんを殺した犯人はもう逃げていて、その時に鈍器も持って行ったという結論になった。詳しい事は警察に調べて貰えば良い。あとはこの雰囲気の中、この館で警察が来るまで待つだけ。

『...あっくんのそばにいて良いかな。』

とら「...ああ、横で見守っといてやれ。」

すて「俺はもう少し探してくるよ。」

しょう「俺は部屋でいるね。」


あっくんの部屋、そのベッドの上にあっくんは首から上を真っ赤にして死んでいる。

なんで...あっくんは撲殺されたんだろう。

だって...


あっくんを殺したのは、私なのに...


私はあっくんを殺した。

あっくんにしていた借金を返し切れなかった。ただそんな理由で。

しょうちゃんは私の事を信じてくれてた。なのに、私は自分のためにあっくんを殺した。

でも...私はあっくんに毒を盛って殺した。寝ている時に体を回って、苦しませずに体を麻痺させて殺す。私の罪悪感で、せめて苦しませずに、死んでいる事にも気付かない殺し方だ。

だから、あっくんが頭を殴られて殺されてるなんて、ありえない。

私以外に、あっくんを殺した人がいるんだ。

それこそ、侵入者が...?

セキュリティ厳重なこの館に...?

...ありえない。でも、3人があっくんを殺すなんて事も...

...そういえば、あっくんを殺すためには、あっくんが寝てから部屋を抜け出してあっくんの部屋に行かないといけないよね。

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