第三話 後悔と罪悪感(語り手:ゆう)
...寝れない。
まあ、皆と久しぶりに会って、楽しかったのはあるかもしれんけど。
あんなはしゃぐのは久しぶりやけん、不安も全部、忘れちゃってたね。
あっくん...そろそろ寝てるかな。
...散歩でもしよっかな。ちょっと動いたら寝れるかもしれないけん。
廊下が暗い...
なんか出てきそうな雰囲気やね...
まあ、あっくん家やけん、大丈夫やとおも
ガタッ
『きゃっ』
何、なんかいる...?
心臓の音がうるさい。
奥のドアが開いている。目を凝らすと、そこに何かいた。
しょう「ゆう...姉...?」
『しょうちゃん...』
よかったぁぁぁぁぁぁぁぁ
まだバクバク鳴っている心臓を落ち着かせる。
スマホの時計を見ると、2時過ぎだった。
『しょうちゃん...こんな時間にどうしたの?』
しょう「いや、ちょっと...トイレに。ゆう姉は?」
『ちょっと...眠れなくて。久しぶりにはしゃぎすぎたけんね。』
まあ、はしゃいだのは本当やけん、嘘はついとらんね。
しょうちゃんを見ると、少し手が震えているように見えた。
『トイレ...ついていこっか?』
しょう「あっ...ありがとう。」
暗い廊下を過ぎれば、エントランスに出た。
エントランスは月の光が差し込んで、廊下に比べれば眩しいぐらいだ。
『じゃあ、ここで待ってるね。』
しょうちゃんがトイレに入って行ったことを確認して、ふうと壁にもたれる。窓から差し込む月光が床で反射してキラキラと光る。神秘的というと、神を信じない私にはいらないものかもしれない。でも、その光は誰に見られても同じ様に輝く。
神がいたら、私をどうするんだろう。同じ様な人間をたくさん見てるから、なんとも思わずに放っておくかもしれない。
そろそろ、終わった頃かな...
しょう「ゆう姉、終わったよ。ありがとう。」
『おかえり。もう戻って寝る?』
しょう「え、えーと、俺、全然寝れなくて...」
可愛い。
『じゃあ、ちょっと話さない?』
しょう「うん。」
十数分ほど、高校時代の話で盛り上がった。できれば、忘れていたかった。後悔している自分がいるから。
『しょうちゃん...』
しょう「なに?」
『もし...私が人を殺したら、どうする?』
つい、言ってしまった。
しょう「それ...俺らん中だとだいぶ禁句だよ?」
しょうちゃんは深く考える様に頭を下げる。
しょう「ゆう姉だったら...警察に行くとか、そういう事はしないと思う。
もちろん人を殺す事は悪い事だから、殺した事に対して、怒ると思う。でも、ゆう姉が自分の為に人を殺すとは思えないから、多分、相手のせいだと思う。だから、ゆう姉は俺が守る。」
『しょうちゃん...』
もう今となっては後悔しかない。しょうちゃんは私の事を信じてくれてる。それを裏切るのは、私だ。
翌朝、あっくんはベッドの上で血塗れになって、死んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます