動物界における、エリートヒモ


 ある意味で言えば、全世界の男の夢? であるヒモ生活。

 それを完全な形で達成している動物がいることを御存じだろうか?

 その動物とは、ライオン。


 ライオンのオスは、狩りをメスに任せて、どっしりと構えている。

 狩りの比率は、オスが一割に対し、メスが九割を担っているのだ。

 たまに狩りに出たとしても、普通に獲物を追うのではなく、ハイエナが必死になって狩った獲物を、我が物顔で横取りしに行くといったもの。

 そんな風に、日々の糧のほぼすべてをメスライオンに工面させているオスライオンだが、実を言うとこれには理由がある。

 それはオスライオンは、とある問題が起こった時、命がけで戦わなければならないという大事な仕事があるからだ。

 その問題とは、別のオスライオンが縄張りに侵入してきた時。

 この時ばかりは、普段ののっそりとした態度を一変させ、百獣の王というあだ名にふさわしい迫力でもってして、オスライオン同士が激しく争うのである。

 ヒモはヒモでも、命がけのヒモなのだ。

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