第82話 美食の国で情報収集

 図書館を発見したので、中に入った。


 さすがは美食の国だ。


 食べ物に関する書籍が大量にあるなぁ。


 おや?

 これは?


 『うまいけど臭い食べ物を集めてみた』という本があるぞ。


 臭い食べ物か。


 ソウダとニィクナーに食べさせたら、臭いで尾行できるようになったりしないかな?


 ちょっと読んでみようか。



 うーむ、いろいろな発酵食品が載っているなぁ。


 おっ、これは!?


 ものすごく美味しいが、一週間全身から強烈な臭いを発するようになってしまう『スー・カァンクチーズ』というものがあるらしいぞ!


 これを食べさせれば尾行できるかな?


「いくら美味しくても、そんなの食べたくないニャン。もし食べてしまったら、一週間無人島で暮らすニャン!」


「ハハハハハッ、チーズは筋肉に良い食べ物だケモ! 積極的に食べるんだケモ!!」


 ソウダとニィクナーが現れた。


「そこのふたり! ここは私語厳禁です! 排除します!!」


 そして、司書の女性に追い出された。


 この案はダメだな。


 他の本を探そう。



 『シレモンまでひそかに食べに来る美味しいもの特集』という本があった。


 スローライフ邪魔し隊が寄って来る食べ物とかあるのかな?


 読んでみよう。



 美味しそうな食べ物がたくさん載っているけど、スローライフ邪魔し隊が食べに来るものは載っていないな。


 この案もダメか。


 まあ、仕方ない、他の本を探すとしよう。



 『うまいものを発見する占い!?』という本があった。


 占いか……


 もうこういう方法しかないのかもしれないな。


 ちょっと読んでみよう。



 占いで有名な『ダマーサ・レーテール』という国があるらしい。


 そこにはよく当たる占い師が何人かいるそうだ。


 まったく当たらないのもいるらしいけどな。


 まったく手掛かりがなかったら、ここに行ってみようかな?


 では、他の本を探そうか。



 他に目ぼしい情報はなかった。


 では、ダマーサ・レーテール国に行ってみようか。


 俺たちは国の場所を調べて、町を出た。



 ダマーサ・レーテール国の首都『アータ・ラーナイ』にやって来た。


 周囲は他の町とさほど変わらない。


 占いで有名な国だからって、占いの館が乱立しているわけではないようだ。


 では、占い師を探そうか。



「そこのあなた!」


 町を歩いていると、見るからに占い師っぽい、白いつぼを抱えた女性に声をかけられた。


「あなたには良くないものがいていますよ!」


「良くないもの? どんなものですか?」


「紙袋をかぶった長身の男性ですよ! これは悪霊ですね!!」


 それはショクシのことなのでは?


 後ろを向くと、ショクシがいた。


 相変わらず、神出鬼没なヤツだな。


「それを放っておくと良くないことが起こり続けますよ!」


 まあ、確かにそうだな。


 警察官に職務質問されまくっているからな。


「この壺を買えば除霊できますよ! お値段は一千万ジカァです!」


 なんだこいつ詐欺師かよ!?


 いや、本当にそうなのだろうか?


 確かめもせずに判断するのは良くないのかもしれない。


 ちょっと本人に聞いてみようか。


「こんなもので、この私が排除できるわけないワン! こいつは詐欺師だワン!!」


 やっぱり詐欺師でした!


「何を言っているんですか、この悪霊は!? これはこのお札も必要ですね! お値段は一枚、五千万ジカァです!!」


「いや、ここは悪霊をはらえる聖水と聖書が必要です! お値段はどちらも二千万ジカァです!!」


「いやいや、ここは悪霊を祓えるワサビと醤油が必要です! お値段はどちらも四千万ジカァです!!」


「いやいやいや、ここはこちらのその辺に落ちてそうな石が有効ですよ! お値段は一億ジカァです!!」


「いやいやいやいや、ここは弊社で販売しているカップラーメンを食べた方が良いですね。お値段はひとつ、二百ジカァです」


 どんどん占い師っぽいヤツが寄って来るぞ!?


 なんだこれは!?


 ここは霊感商法の国でもあるのか!?


 メンドクセェなぁ!!


「そこの君たち、何をやっているんだね?」


 警察官がやって来た。


「なんでもありません。失礼します!」


 占い師っぽい連中は逃げて行った。


 あいつら足が速いな。



 その後、警察官に事情を説明した。


 ついでに占い師について聞いてみた。


 評判の良い占いの館を教えてもらった。


 では、行ってみようか。



 占いの館にやって来た。


 『当たらない占いの館』と書かれた壁面看板のあるビルだ。


 当たらないのに評判は良いのか?


 どういうことなのだろうか?


 とりあえず、入ってみるか。



 中は壁一面にコルクボードが取り付けられていた。


 そこに大量の地図が張られている。


 部屋の隅に大量のダンボール箱が積んである。


 なんだここは!?


 いったいどんな占いをするんだ!?


「らっしゃっせぇっ!!」


 ボディビルダーっぽい格好をした、長身の若い男性に話しかけられた。


 なんで占いの館に、こんな人がいるんだ?


 まさかこの人が占い師なのか?


 ちょっと聞いてみた。


「そうですよ! お客さん、何を占いましょうか?」


 本当に占い師だったのか。


 筋トレが趣味なのかな?


「スローライフメタルとスローライフインクというものが、どこにあるのか占って欲しいのですが、よろしいでしょうか?」


「分かりました! お客さん、当館は初めてですか?」


「はい、そうです」


「では、まずはご説明いたします! 私の占いは地図にくぎを投げて、探し物の在り処を当てるという占いです! 当たった場所に探し物があるということですね!!」


 へぇ、そういう占いなのか。


「ただし、私の占いは絶対に当たりません!」


「えっ!? そうなんですか!?」


「はい! なので、釘を大量に投げる必要があります!」


 なるほど、釘の当たらなかった場所に探し物があるのか。


 何本も投げる必要性がありそうだな。


「釘はこちらを投げます! これ以外の釘では占えません!」


 占い師が釘を見せてきた。


 長さ一五センチくらい、直径五ミリくらいだ。


「地図はどれにしましょうか?」


「世界地図でお願いします」


「分かりました! 世界地図ですと、こちらですね!」


 占い師が縦横一メートルくらいある地図に手を向けた。


 これで場所を特定するには、かなりの釘が必要なのでは?


「釘一本、百ジカァで投げます!」


 そういう料金の取り方なのか。


「では、何本釘を投げましょうか?」


「ええと、そうですね。とりあえず、一万本お願いできますか?」


「分かりました! では、いきますよ!! うおりゃぁぁぁっ!!! スローライフメタルとスローライフインク出て来やがれぇぇぇっ!!!」


 占い師が叫びながら、釘を投げ始めた。


 ずいぶんと肉体を酷使する占いだな。


 あんな体になるわけだな。



 しばらくすると、地図は釘だらけになった。


 だが、釘がまったく当たっていない場所があった。


 あそこにあるということなのだろうか?


 どう見ても海しかないように見えるのだが、どういうことなのだろう?


 まあ、それは行ってみれば分かることか。


 とりあえず、この場所をメモしておこう。


 では、向かうとするか。


 俺たちは料金を支払い、館を出た。

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