第80話 VSウェディングソルジャー

 いたたたた……


 くそっ、また爆発するのかよっ!


 このダンジョンは最奥まで爆発尽くめだな!


 みんなは無事なのか?


 確認しないと。


「ワシは無事じゃ」


「俺君もだ」


「ボックもである」


「無事ッスよ~」


「おいらもなんとか無事ゲスッスよ!」


「ハヤト、お主は無事か?」


「ああ、俺も問題ない」


 衣魔法の防御力は素晴らしすぎるな!



 そういえば、砂糖ドラゴンたちはどうなったんだ?


 部屋の中央には、砂糖ドラゴンたちのものと思われる焦げた残骸が転がっていた。


 あいつらも爆発に巻き込まれたのかよっ!?


 何やってんだよ、ウェディングソルジャーどもは!?


 砂糖ドラゴンたちの足も吹き飛んでいるみたいだな。


 塩の入手は失敗か。


 まあ、仕方ない、切り替えていこう。


 では、サンクトに奉納部位を調べてもらおうかな。


「良いぜ!」


 サンクトがそう言って、儀式を開始した。



「おっ、来たぜ! こいつの奉納部位は頭頂部に張り付いている葉らしいぜ!」


「また葉なのか」


 ケーキなのに、なんで葉なんだろう?


 まあ、どうでもいいけどな。


「足の皮や爪は買い取ってもらえるらしいぜ!」


「そうなのか。では、ケーキの部分はどうなんだ?」


「あれはケーキじゃなくて、紙の立体模型に絵が描いてあるだけらしいから、買い取ってもらえないぜ!」


「ペーパークラフトだったのかよっ!?」


 ケーキにしか見えなかったぞ!


 素晴らしい芸術作品だな!


「後、ケーキの最下段の部分にウェディング魔法の魔導書が入っているらしいぜ!」


「魔導書!? まさかそれを持っていると、ウェディング魔法が使えるのか!?」


「その通りだぜ!」


「そうなのか。役に立つかは分からないけど、入手できそうならしておこうか」


「そうじゃな」



 そういえば、いちおうボスを倒したのに記念品が出て来ないな。


 ここは最奥ではないのか?


 それとも自爆では出て来ないのか?


 どうなんだろうな?


 まあ、いいか。



「さて、どうやって砂糖ドラゴンを倒そうか?」


「また光線で奉納部位を撃てば良いんじゃねぇか?」


「そうだな。それが一番良さそうだ。やってみよう」


 俺たちはボス部屋に入り直した。


 また先程と同じ数の、砂糖ドラゴンとウェディングソルジャーが出現した。


 俺とシャワイヤーはすぐさま砂糖ドラゴンたちの頭頂部に向けて、光線を撃った。


「させるか! ウェディング一発ギャグ『ウェディングジャンピングガード』!!」


 しかし、ウェディングソルジャーたちがそう言いながら跳び上がり、自身の体で光線を受け止めた。


 そして、爆発した。


 当然、砂糖ドラゴンたちも巻き込まれた。


 砂糖ドラゴンたちは消し炭になった。


 何やってんじゃぁぁぁっ!!!


 せっかくガードしたのに、爆発してんじゃねぇよっ!!!


 意味ないだろうがっ!?


 というか、ウェディングジャンピングガードって、なんだよっ!?


 それって、一発ギャグなのか!?


 ただボディガードとしての仕事をしただけなんじゃないか!?


 意味が分からねぇよぉぉっ!!



「さて、次の手を考えようか」


「うーむ、まさかあんな手段で妨害されるとは思わんかったのう」


「ああ、まったくだな」


「とりあえず、あのソルジャーどもを砂糖ドラゴンの側から引き離さねぇとダメなんじゃねぇか?」


「確かにそうだな。では、どうやって引き離そうか?」


「向かって来た時に、逃げれば良いんじゃねぇか?」


「そうだな。やってみよう」


 俺たちはボス部屋に入り直した。


 またまた前と同じ数の、砂糖ドラゴンとウェディングソルジャーが出現した。


 俺たちが砂糖ドラゴンに近付くと、ウェディングソルジャーたちが向かって来た。


 よし、ここで逃げて、砂糖ドラゴンから引き離そう!


 俺たちは反転して逃げだした。


 だが、世の中はそんなに甘くはなかった。


 俺たちを追って来たのは八体だけで、残りの六体は砂糖ドラゴンたちの側を離れなかった。


 そこはちゃんとしたボディガードみたいだな!


 仕方ないので、俺たちはボス部屋の外まで逃げた。



「作戦失敗だな。さて、次はどうしようか?」


「そうじゃなぁ」


「全然思い付かねぇぜ!」


「まったくである」


「おいらも思い付かないゲスッス」


 みんな思い付かないようだ。


 さて、どうするか?


「とりあえず、町に戻ってのんびりしましょうよ~」


 そういえば、キューストの能力を試してなかったな。


「キュースト、ちょっとあいつらに能力を使ってみてくれよ!」


「ええ~。前のドラゴンには効かなかったッスよ~。面倒ッスよ~」


「あいつらには効くかもしれないだろ! やってみろって!!」


「ええ~」


「やってくれ!」


「うう、人使いが荒いッス~」



 俺たちはボス部屋に入り直した。


 またまたまた前と同じ数の、砂糖ドラゴンとウェディングソルジャーが出現した。


 キューストに能力を使ってもらった。


 すると……


「ああ~、もう働きたくねぇ~」


「ウェディング一発ギャグなんてやってらんねぇ~」


「なんなんだよ~、ウェディング一発ギャグって~。馬鹿馬鹿しくてやってられねぇんだよ~」


 ウェディングソルジャーたちのやる気は消えてしまったようだ。

 床に転がってダラダラし始めたぞ。


 こいつはすごい!

 効果抜群じゃないか!!


「おい、貴様ら何をやっているシオシオドラ!? 敵と戦え、命令だシオシオドラ!!」


「ウェディング一発ギャグが思い付かないので、本日は休ませていただきま~す」


「ふざけるなシオシオドラ! ウェディング一発ギャグをやらなくても良いから戦えシオシオドラ!!」


「面倒なんでお断りしま~す」


 砂糖ドラゴンたちには効かなかったようだ。


 まあ、まったく問題ないけどな!


 では、倒してしまおうか。


 俺とシャワイヤーは砂糖ドラゴンたちの奉納部位をむしり取った。


「お、おのれっ、ぐああああああああああっ!!!」


 砂糖ドラゴンたちを倒した。

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