第79話 塩ドラゴン
では、次は味噌魔法の杖を使ってみようか。
どうやって使えば良いのだろう?
そういえば、味噌ドラゴンはこれを掲げていたなぁ。
真似してみようか。
俺は杖を掲げて、味噌樽型爆弾出て来いと心の中で唱えてみた。
すると、味噌樽型爆弾がひとつ出現し飛んで行った。
そして、壁にぶつかり爆発した。
おおっ!
魔法を撃てたぞ!
この杖すごいな!!
その後、何度も試してみた。
味噌樽型爆弾を最大で三十個同時に出せることが分かった。
こいつは何かの役に立ちそうだな。
もらっておこうか。
さて、次の階に向かうとするか。
地下四階にやって来た。
な、なんだここは!?
ホテルのロビーのような場所だな!?
お高そうな敷物が敷かれ、これまたお高そうなテーブルと椅子が多数置いてある。
観葉植物もある。
そして、奥にボス部屋の扉がある。
いきなり内装がガラッと変わったな。
なんでだろう?
まあ、そこはどうでもいいか。
ここにドラゴンはいないようだな。
とすると、この階もボスがドラゴンなのか。
では、ボス部屋を覗いてみよう。
中もいつもと違うな。
天井からは多数のシャンデリアが吊り下げられている。
壁には白いカーテンがかけられている。
床にはお高そうな敷物が敷いてある。
まるで高級なホテルの大広間のような感じがする場所だな。
そして、部屋の中央には巨大なウェディングケーキのようなものが置いてある。
高さ四メートル、幅二メートルくらい。
十段重ねになっている。
あれがボスで塩ドラゴンなのかな?
相変わらずドラゴン要素が全然ないなぁ。
それに、あれでは塩というより砂糖だろ。
なんであんな姿なのだろう?
まあ、どうでもいいか。
さて、あいつはどんな攻撃をしてくるのだろうか?
うーむ、まったく想像が付かないな。
ちょっとみんなにも聞いてみようか。
「宙に浮いて体当たりでもしてくるんじゃねぇのか?」
「なるほど、あり得なくはなさそうだな。他に何かあるか?」
「まったく分からないのである」
「ワシもじゃ。ここはいつも通り逃げ道を確保して、戦ってみるしかないようじゃな」
「そうだな。では、行こうか!」
「分かったゲスッス!」
ボス部屋に入った。
いつも通り塩ドラゴンが一体追加された。
その直後、塩ドラゴンたちの周囲に、礼服を着た大柄の成人男性型のマネキンが七体ずつ出現した。
なんだあいつらは!?
ボディガードのような存在なのか!?
あいつらが攻撃を仕掛けてくるのか!?
まあ、なんであれスローライフのために戦うしかないよな!
では、行こうか。
おっと、その前に逃げる準備をしないとな!
俺たちは扉を固定し、塩ドラゴンたちに近付いた。
「ようこそ、我がダンジョンへシオシオドラ。我が名は『砂糖ドラゴン』だシオシオドラ」
「えっ!? 砂糖!? 塩ドラゴンじゃないのかよっ!?」
「我が塩に見えるのかシオシオドラ?」
「いや、まったく見えないな」
「そうであろうシオシオドラ? だからこそ砂糖ドラゴンに改名したのだシオシオドラ!!」
改名したのかよっ!?
「どうだ、我にふさわしい名であろうシオシオドラ?」
「あ、ああ、そうだな。では、前の名前は塩ドラゴンだったんだな?」
「そうだシオシオドラ。我にふさわしくない名であろうシオシオドラ?」
「ああ、そうだな」
やはりこいつは塩ドラゴンなのか。
「ところで、ラーメンの材料を持っているのか?」
「ほう、貴様もそれを狙って来たのかシオシオドラ。いかにも我が所持しておるシオシオドラ」
「それを分けてくれないか?」
「断るシオシオドラ。材料は我の足の中にあるシオシオドラ。ゆえに渡すわけにはいかんシオシオドラ」
「足の中!? 足なんてないじゃないか!?」
「足ならあるシオシオドラ」
砂糖ドラゴンがそう言うと、ケーキの底から巨大な足が二本出て来た。
長く鋭い黒い爪が生えている、赤い
「な、なんだその足は!? まるでドラゴンのような足だな!?」
このダンジョンに来て、初めてのドラゴンっぽいものじゃないか!?
ちょっと感動したぞ!
「我はドラゴンなのだから当たり前だシオシオドラ」
「いや、まったくドラゴンには見えないのだが……」
「な、なんだと、バカなシオシオドラ!? おのれっ、人間めシオシオドラ!? 我にそのような暴言を吐くとは許せんシオシオドラ! 我が爪で引き裂いてくれようシオシオドラ!!」
あっ、マズい!?
今のは失言だったか!?
砂糖ドラゴンを怒らせてしまったぞ!?
まあ、いいか。
どうせ戦うしな。
「ゆけ、我がウェディングソルジャーたちよシオシオドラ!」
砂糖ドラゴンがそう言うと、周囲のマネキンたちが向かって来た。
「ウェディングソルジャー!? なんだその物騒なものは!?」
結婚式にふさわしくなさそうだな!
「我が『ウェディング魔法』で出した兵のことだシオシオドラ!」
ウェディング魔法!?
妙な魔法を使うんだな!?
ウェディングソルジャーたちが俺たちの近くまでやって来た。
「はい、それではウェディング一発ギャグをやっていきたいと思います!!」
そして、こんなことを言い出した。
「ウェディング一発ギャグ!? なんだよ、それは!?」
「結婚式の余興に行う一発ギャグのことです! では、いきますよ! 題して『ウェディング大爆発』です!!」
ウェディング大爆発!?
な、なんだそりゃぁっ!?
言葉通りのものなのか!?
なら、逃げないと!?
ウェディングソルジャーたちが爆発した。
俺はそれに巻き込まれ、吹き飛ばされた。
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