第78話 味噌ドラゴン

 俺たちは地下三階にやって来た。


 ここも上の階と同じ構成だ。


 ボス部屋の扉、上り階段、下り階段があるだけだな。


 ドラゴンらしきものは見当たらない。


 ここもボスがドラゴンのようだ。


 ここにいるのは、味噌みそドラゴンだったな。


 では、ボス部屋を覗いてみようか。



 中も上の階と変わらないな。


 部屋の中央には、巨大なマツタケのようなものに、筋骨隆々な人間の手足が生えた化け物がいる。


 身長三メートルくらい。

 マツタケは二メートル弱くらい。


 人間の手足の部分は日焼けしたような肌色で、ムダ毛は生えていない。


 靴は履いていない。


 右手に長さ二メートルくらいの、魔法使いが持っていそうな木の杖を持っている。


 あれがボスのドラゴンなのか?


 ドラゴンでもなければ、味噌ですらもないな!?


 まあ、そんなのどうでもいいか!



 さて、あいつはどんな攻撃をしてくるのだろうか?


 あの杖で殴ってくるのだろうか?


 人間の手足があるから、それを使ってくる可能性もあるかもしれないな。


 魔法を撃ってくる可能性もありそうだな。


 警戒しておこう。


 では、逃げる準備をして、戦ってみようか。



 ボス部屋に入った。


 いつものように味噌ドラゴンが一体増えた。


 俺たちは扉を固定し、味噌ドラゴンたちに近付いた。


「むっ、人間か、何をしに来たミソニコミ」


 味噌ドラゴンが話しかけてきた。


「ラーメンの材料を探しに来た」


「ほう、余の味噌を奪いに来たということかミソニコミ。良い度胸だミソニコミ」


「味噌を持っているのか?」


「その通りだミソニコミ。欲しければ、余から奪ってみるのだなミソニコミ」


 味噌ドラゴンたちが襲ってきた。



「余の『味噌魔法』を受けよミソニコミ!」


 味噌ドラゴンたちが杖を掲げ、そう言った。


 味噌魔法!?

 なんだそれは!?


 すると、味噌ドラゴンたちの周囲に味噌みそだるが多数現れた。


 あれが味噌魔法なのか!?


 あっ、なんだか嫌な予感がしてきたぞ!?


 まさかあれも爆発するのではないか!?


 味噌樽が俺たちに向かって飛んで来た。


 俺たちはそれらを回避した。


 味噌樽は壁に激突し、爆発した。


 やはり爆発するのかよっ!?


「フハハハハッ、どうだ、余の味噌魔法『味噌樽型爆弾』の威力はミソニコミ?」


「味噌樽型爆弾!? もしかして、あの中に材料の味噌が入っているのか!?」


「味噌は入っていないミソニコミ! 食べ物を粗末にするわけないだろミソニコミ!!」


「そ、そうなのか」


 そこは偉いな。



「さあ、まだまだゆくぞミソニコミ!」


 また味噌ドラゴンたちの周囲に多数の味噌樽型爆弾が現れ、俺たちに向かって飛んで来た。


 また俺たちはそれらを回避した。


「ほう、二度もかわすとは、なかなかやりおるなミソニコミ! ならば、これはどうだミソニコミ!!」


 また味噌樽型爆弾が現れた。


 しかも、先程よりも多い。


 この数が飛んで来たら、回避できないかもしれない。


 仕方ない、スローライフオーラ魔法で撃ち落とそう。


 俺は光線を発射した。


 シャワイヤーも光線を発射した。


 光線が命中した味噌樽型爆弾は爆発した。


「ぐあああああああああっ!!」


 味噌ドラゴンたちは爆発に巻き込まれた。


 あっ、なんだかすごく良い香りがするぞ。


 マツタケと味噌が焼けたからか?



 爆発の後には、焦げた味噌ドラゴンたちの破片が残っているだけだった。


 これでは材料は手に入らないだろうな。


 まあ、仕方ないか。


 では、サンクトに神鑑定をしてもらおうか。



「おっ、来たぜ! こいつの手足の中に入っている味噌が、ラーメンの材料らしいぜ!」


「手足に入っているのかよっ!?」


 訳の分からん体をしているなぁ。


「奉納部位は、背部のカサのあたりに付いている葉らしいぜ!」


「キノコなのに葉なのか」


「マツタケの部分は美味しいから、高値で買い取ってくれるらしいぜ!」


「へぇ、そうなんだ」


 ちょっと食べてみたい気もするな。


「あいつの持っていた杖は『味噌魔法の杖』という魔法の杖らしいぜ!」


「えっ!? どういうことだ!?」


「あれを持っているだけで、味噌樽型爆弾を出す魔法が使えるらしいぜ!」


「そうだったのか。何かの役に立つかもしれないから、奪い取っておくべきか?」


「それも良いかもしれねぇな」


「ところで、杖を奪うと味噌ドラゴンは魔法を使えなくなるのか?」


「そこは分からねぇな」


「もしそうなら、杖を奪えば有利になりそうだがな」


「そうじゃな。奪ってみても良いかもしれん」


 何か方法を考えるべきか?


「それから杖も結構高く買い取ってもらえるらしいぜ!」


「そうなのか」


 売るべきか?

 使うべきか?


 どうしようかな?


 って、そんなのは手に入ったら考えるべきだな。


 捕らぬ狸の皮算用だ。



「さて、どうやって味噌ドラゴンを倒そうか?」


「とりあえず、光線で杖を持っている腕を撃ち落としてみたらどうじゃ?」


 現状ではそれが一番良さそうだな。


「よし、それでいこうか!」


「分かったゲスッス!」


 俺たちはボス部屋に入り直した。


 そして、俺とシャワイヤーは味噌ドラゴンの右肩を目がけて光線を発射した。


「ぐああああああああああっ!!!」


 光線が命中し、右腕を切り落とした。


 これで魔法を使えなくなったのか!?


「くっ、しまった杖がミソニコミ!? おのれっ、人間どもめミソニコミ!?」


 どうやら杖がないと魔法が使えないようだ。


 今のうちに倒してしまおう。


 俺は身体能力を強化し、味噌ドラゴンに接近、奉納部位をもぎ取った。


 味噌ドラゴンはうつ伏せに倒れて動かなくなった。


「同志、ドラゴンを倒したゲスッスよ!!」


 どうやら勝ったようだな。



 では、解体しようか。


 人間の手足に見える部分には、本当に日本で普通に売っているような味噌が入っていた。


 右手足には赤味噌のような色の味噌、左手足には白味噌のような色の味噌が入っている。


 なぜ色が違うのだろうか?


 まあ、どうでもいいか。


 味噌を保存容器に入れた。


 マツタケの部分はアイテムボックスの中に入れた。


 よし、これで後は塩ドラゴンだけだな!

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